「最終処理場にようこそ!」
表題作他5篇の詩集
『最終処理場へ』
狂ったふりで生きていくよ
「冬の月が綺麗ですね」
そんなことを口走るよ
多分僕は高校生
はみ出した幾つもの感性を
そこに埋め立てていくよ
悟ったふりで生きていくよ
「下らない気持ですね」
そんなことを吐き捨てるよ
多分僕は早く死ぬ
またたいた幾つもの素直を
ここに埋め立てに来たんだよ
*
『一人の夜はどこまでも、』
それから星が降った
僕は出来る限り沢山の
それを見届けようと
一人、冬の夜の中にいる
「少し、海辺まで歩きましょうか」
宙を舞う。。
*
『棘の橋』
後ろから君に銃撃された
振り向くと君は少し微笑んで
私のこと嫌いになった? と訊く
「嫌いじゃないよ、素敵だよ」
また
後ろから君に銃撃された
振り向くと君は上目遣いで
私のこと嫌いになった? と訊く
「またまだ好きだよ、君のこと」
また
後ろから君に銃撃された
そして、僕は死んだ
「私も好きだったよ、君のこと」
そんな時代の月が綺麗だった
*
『散文乃至駄文』
僕は見たんだ、確かに幽霊を
それは動かないんだ
その場でゆらゆら揺れて
白いカーテンみたいなんだ
劇的なんだ、僕にはとても
まさしく刺激的だったんだ
その靄みたい不思議さに
変化のときを悟ったんだ
足音がしたんだ、下校中に
振り向いてみても誰もいない
でもいつまでも付いてきて
やっと僕は気づいたんだ
色々なんだ、キミも僕も
色々は本当に色々だったんだ
今度インターネットにでも
息継ぎ、死にに行こうかな
*
『音し物』
歩いていたら
足元で「ポトン」と音がした
何か落としたのかな
そう思って見てみても
何もなかった
気のせいだと思って
再び歩き出したけど
やけにその音が頭に残り
謎の焦燥が胸をさすった
別段、何でもない日常の中
*
『最終処理場にようこそ!』
もはや、歪んだ語り手は
イヤホンジャックを覗く
「別に、なんでもかんでも死ねとは思っていないよ。愛とか、友情とか好きだよ。それに、そういうものが皆に受けることも知っているよ。でも、僕はもっと腹黒くいたいんだ。最終処理場を汚して誇りたい。いつか誰かを呼べるように、今はただ頑張るよっ!」
もはや、歪んだ語り手が
歪んだ世界を見れば
イヤホンプラグのように
真っ直ぐな
「最終処理場にようこそ!」
ありがとうございました。
単体で投稿するに及ばない詩を処理しました。平塚サラが連載している詩集が今日、総集でしたので臨時で仕上げました。といっても、今まで書いて投稿してない詩を適当に選んで、少し推して敲いただけなんですけどね。とにかく、最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。よければ、ご感想、評価を頂ければ幸いです。m(_ _)m