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ポルターガイスト

「オパール。大丈夫?」


「ぎゃう~う~」


「ほらおいでオパール」


「ぎゃう~♪」


 不満そうな鳴き声だったので、両手を広げると胸に飛び込んでくるオパール。そのまま抱きしめてもふもふしてあげると、ぴしぴしと尻尾を振っていた。


 可愛い奴め。


『おい、俺様の毛並みの方が気持ちいぞ』


「ダリアも気持ちいいね~もふもふ最高~」


『そうだろそうだろ! 特別に触らせてやろう!』


「やった~! 大好きダリア!」


 ゴロンと地面に転がったダリアに近付き、お腹へ顔ダイブ!


 は~! お腹のもふもふ最高。至福過ぎる。


「カヤ。もふもふ堪能しているところ悪いけど、そろそろ昼ご飯にしない? そのために呼びにきたんだ」


「……もうそんな時間ですか!」


 夢中でヒツジウシの毛を刈っていたせいで気付かなかった。改めて空を見ると、確かに太陽が空の中心から西に少し傾いていた。


 途端。


――ぐ~。


「おっと」


腹の虫も空腹を訴えてきた。もう、本当に都合が良いんだから。


「あはは! お腹は素直だね。ちなみに今日は、カヤの好きな白トマトのスープだよ」


「白トマト!」


 思わず飛び上がりそうになった。


 こっちに来てから日本にない食材を色々食べたけど、その中でも白トマトは格別に美味しい。


 形は白いトマト。だけど赤いトマトと違って酸味は全くなくて、甘みがかなり強い。なんだか、野菜を食べているというよりは果物を食べてる感覚に近んだよね。


 生で食べるのも美味しいけど、やっぱりスープが一番! ポタージュスープみたいもうさいっこう! 何杯でもおかわりできちゃう!


「トマト! 白トマト!」


「ぎゃうー」


『おいカヤ! 俺様にも一口寄越せ! あれは美味い!』


「いいよ! 一緒に食べよ」


『よし! 白トカゲの分も俺様のだ!』


「ぎゃう‼」


「ダリア。けちんぼなこと言わないの。オパールにも白トマトあげるね」


「ぎゃう♪」


 そんなこんなで家に戻ると、部屋の隅に置いてある水盆がチカチカ光っていた。


 底の浅いガラスに水を張って花とか浮かべてるものなんだけど、凄く綺麗なんだよね。


「太陽の反射かな?」


 けど、水盆は部屋の隅で日が当たらない所にある。なのに、異様に明るい。よく見ると内側から発光してた。


 あ、あやしすぎる……。


「ポルターガイストとかじゃないよね……?」


 魔法があるんだからお化けの一匹や二匹いてもおかしくないけど、実際現れるとなるとまた話が違う。


 実は私、お化けとか苦手なんだよね。前に友達と一緒に行ったお化け屋敷で恐怖のあまり飛び出してきたお化け役のスタッフさんにアッパーを決めて怒られた事は忘れない。


『どうしたんだよ。カヤ』


「い、いや。あれ?」


『あれ? 光ってるな』


「光ってるな……じゃないでしょ!」


 思わず突っ込む。なんでダリアはそんなに冷静でいられるのよ! 


『別に、害はないだろ』


「害があるとかないとかじゃなくて! ああもう! なんなのあれ⁉」


 ひっくり返った声で叫ぶように訊ねたら、肩に乗ってきたダリアがにやりと笑った気がした。


 あ、この表情知ってる。悪戯しようとする人が浮かべる笑みだ。



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