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ヒツジウシ暴走

 その日私は、アルバさんと共にヒツジウシの毛刈りをしていた。


 どうやらヒツジウシの毛はある程度長くなったら直ぐに短くしてあげないと、ストレスで毛ツヤがなくなってしまうらしい。試しにタイミングを逃した毛を触らしてもらったけど、本当に天と地ほどのもふもふ具合だった。


 もふもふ好きの私にとって、もふもふの品質が損なわれると知って何もしないのは愚の骨頂。


 てなワケで、アルバさんに頼んで毛刈りバサミ片手にショキショキやってる。


「よし、終わりっと」


『りっと〜な〜』


「はい、次ね」


『つぎね〜な〜』


 テコテコと近付いてきたヒツジウシを動かないように拘束してショキショキ、もこもこ。


 地味なんだけど、これがまたハマると面白い。


「はい次〜。はい次〜」


 リズムよくヒツジウシの毛を刈っていると、つんつんと背中をつつかれた。


 ちょっ! 今いい感じに毛が切れてるから動かさないで!


「アルバさん待って!」


――ツンツン。


「あと少しで終わりますから」


――ツンツンツン。


「ちょっと待ってって――うお!」


 あまりにも無言でツンツンされるから何事だと思って顔を上げたら、ヒツジウシたちと目が合う。しかも数匹じゃない。ざっと数十匹はいる。


彼らは私を取り囲むように並んでいた。


「な、なに!? なにが起こってるの!」


 思わずっ頓狂な声が出た。まさか、毛刈りの仕方間違えてた!?  え? もしかして、それが原因でヒツジウシたち怒っちゃった? 私これからリンチでもされるの! 


もふもふに囲まれるならむしろごくら――。


「な~!」


「「「「な~!」」」」


「え? えぇ⁉」


なんとまぁヒツジウシたちが私の周りでかごめかごめを始めた。しかもかなり高速で。


 少し……いや本当にやばいこれ。もふもふは最高だけど、つぶらな瞳をこちらに向けたままの拘束回転は流石に恐怖しかないよ!


「えっと、あっと……」


 輪から出ようとしても、ヒツジウシたちも一緒に動くので全く身動きが取れない。いつもはゆったりまったりしてるのに、なんでこういう時はすばしっこいのよ!


「どうしよ……これ」


どうすればいいのか分からず途方に暮れていると、遠くにアルバさんとダリアの姿が見えた。


 た、助かった!


「アルバさん! ダリア! たすけ~て~!」


 必死に叫んでると、ダリアが気付いてくれた。


 あぁ! 流石ダリア! 天才猫‼ 


あとでダリアの大好きな魚のミンチを多めにあげよう。


『なにやってんだよお前、なんかの儀式か?』


「そんなわけないでしょ!」


 仮に儀式だとして、なんの儀式をヒツジウシたちはしようとしているのかさっぱり分からない。


「まさか……私をもふもふにする儀式か!」


『は?』


 カッと目を見開く。なんと! そんなさいこ……げふん。恐ろしい儀式をヒツジウシたちはしているのか!


 真面目に大歓迎だぜ! 是非とも頼む!


……あ、本音でちゃった。てへぺろ♪


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