第五話‐それからの、あれから
観測者は、世界の最上位である。
しかし、世界は、その一つ上くらいの、上位概念を常に創作し続ける。
その関係は、まさしく例えるなら。
ネトゲ廃人とネトゲ運営、その、壮絶なる攻略合戦の様相。
攻略されたら、その途端に、攻略するべき世界、空間を創造するのだ。
もちろん、
こちらもこちらで、世界が創造するだろうモノを、創造している、のだが。
「また、全員、さぼりか、下らない」
「まあ、この集まりが、下らないのだから、しょうがないでしょう?」
「言ってくれるな、ナルデ、お前も、その下らないに含まれると言うに」
「そうね、しかたないから黙っておくことにします」
俺は見つめる。
目の前、卓上。
陸に打ち上げられた鯛のように、ピチピチしている。
「こいつは、どうする?」
「さあ、煮て食べれるのかしら?」
「冗談が上手いな、、、って怯えるなおびえるな。
馬鹿ナルデ、幼女を脅しつけるようなことは、安直によせ」
俺を見つめる瞳に、涙が滲んで、決死でどうにかした。
この子は、拾った。
端的に言うなら、そういうシチュエイションだろう。
付与スキルに「高度未来予測演算(絶対上位世界+1)」と在ったのだ。
これによって、あの上位世界を、タイムラグ無しで、延々と創造できるように、なった。
あの世界は、既に支配したのだ。
事態は、それから、だ。
「コイツが、反観測者連盟、世界者の一人じゃないって証拠がないか?」
「まあ、観測者特権とかが、ステータスに無いしね、証拠は今のところ見つかってないわよ」
「そうか、佳代にでも問い合わせて、いや、やめておこう」
「佳代って誰よ? おしえなさいよ」
「知らん、俺はそんな事は、一言も言っていない、絶対に気にするな」
「まあ、知っているのだけど」
佳代とは、情報通のような奴だ、それ以外は矮小だ。
「ところで、話は変わるが、ナルデはなぜ観測者サイドなんだ?」
「知らないわよ、たぶん、なんとなくでしょ、好みの問題」
「ああそう、なら、しかたないな」
時間は流れた、目の前にぴちぴち動く少女が一人いるだけだ。
「暇ね、貴方、なんか超絶に面白いこと言いなさいよ、
できないなら、なにか面白いアクション、イベントを新興させなさい」
「、、、無茶言うな、俺には無理だ」
「はふぅ、つかえない人、わたしは世界に絶望している、だから観測者サイドなのよ」
ナルデは、ただただグダっと、机にうつぶせに、なった。
「そうか、そうだ。
俺はこれから、アトランに向う」
「そうね、それがいいわ、私も行くわ」
俺達はそう言って、その場から消えた、少女は残したまま、卓上で簀巻きにされたまま。




