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プロローグ

 

 

「生まれた時から、世界はどうしようもなく腐っていた。

 誰もがあらゆる不条理、理不尽、不合理・不効率から、解放された強者かのように生きていた。

 幸福に対して狂気的で、誰も彼もが化け物、モンスターだ。

 一切の倫理を合切で超越する、絶対的な望み、欲望を抱き。

 そのうえで、果てない渇望に突き動かされて、一生涯、熱望を滾らせ続けているのである。」


「誰もが、意味と価値に溢れる世界において、絶対や無限のような、理想を求めている。

 それは強欲とも無欲とも違う、ただただ、人間が至った究極の位置。

 その究極は七つあった。

 秩序・混沌・幻想・絶対・矛盾・虚無・絶無、そして、真無。

 それぞれ主義主張は違えど、これは確立した領域、勢力を有する世界だ。

 そして真無、目指すべきは太平なる平等。

 彼らは、他とは一線を画する存在達だ。

 彼らの役目は、基本的に観測することだった。

 ひたすらに観測し、情報を共有しようとする。

 これにより、あらゆる生命は、生まれた瞬間から、一定で情報を共有される。

 その一定とは、世界の平均値レベルの情報総量力場を、与えられ、得られるということ。

 およそ、弱者の存在する余地は無くなった。

 このシステムにより、人は人を超越した、何か大いなる存在へと昇華した。

 誰もが、世界に対して絶対者である己と、同一以上の存在が、世界に溢れていることを自覚する。

 それは端的に言って、世界のゲーム化だった。

 ゲームのように、そのような心持で、現実を生きる事が、倫理に反しなくなった、そういっていい。

 むしろ、そのような価値観を抱くことが、当然たる、な世界だった。」

 

「自分は、観測者だった。

 この世界を、解明する事が求められる存在。

 世界は勝手に、不可思議、神秘を増大させ続ける。

 解明しなければ、エントロピーが加速度的に増大し、世界は自我崩壊する。

 ゆえに、真なる無に、返さなければならないのだ、自分が。

 存在は、知らなければ、いけない。

 およそ神秘や不可思議、絶対超越的なモノが、なにもない事を、予測でなく確信しないといけない。

 世界はあるがままに、自然に存在しなければ、絶対にいけない。

 意思である意志は、その在り方が自然とは、あまりにも異なる、本来的に絶対超越的なモノである。

 世界に存在するなら、その在り方は、自重されなければいけないのだ。

 世界は、本来的に絶対超越的なモノでは、決してないからだ。

 世界は、求められれば、必然、応えてしまう。

 想像できるモノは、創造されなければ、いけない。

 IFであり、もしもの可能性は、それが到底ありえない領域でも、用意されていなければいけない。

 世界はハリボテの箱だが、そこにはルールがあり、限りなく厳密に適用されていなければいけない。

 このような事由によって、世界という、ある種の存在は、己の存在の為に、観測者を生み出した。 

 彼らは、世界に忠実に機能する。

 世界という存在が、システムとして確立した枠内で、彼らを世界に存在させた。

 世界は、これによって、この先も永久に存在し続ける。

 つまり、我々観測者達が、すべて、その在り方を、完全に支配、コントロールすればいいのだから。  

 世界は、存続する、世界を超越するような世界、存在は決して無い、現われない。

 なぜなら、我々が絶対の神秘に至らせない、登らせない、超越させない、からだ。

 それに、絶対の神秘など、それこそだ、唯一しかない世界の始まりの謎だけで、十分以上で絶無、事足りるのだから」


「その中で、異常事態が発生した。

 観測者の離反、特異点という予想外、その他、数え切れない不測

 自分も、ただの観測者から、変わっている、変わってしまった。

 少なくとも、特異な観測者へと」

   

「存在は幸福になる為に存在している。

 幸福とは、異常の解明だ、その総量値だ。

 

 異常とは、例えば、幸福に対して狂気的になっている現象とかだ。

 存在は、存在であるが故に、絶対に幸福に対して、理性的構えを崩せない。

 モンスター、怪物などと呼ばれる、幸福に対して狂気的な存在は、幻想でしかない。

 幻想には、背景にカラクリがある。

 バックグラウンドにソレを操る演奏者が、確実なる意図をもって存在する。

   

 宇宙の存在も、異常に見える。

 観測者は、宇宙を創造したモンスター。

 このカラクリを解明しなくてはならない。

 なぜなら、永遠に消滅できず、生き続ける観測者は。

 幸福に狂気的に駆られる、モンスターであるからだ。」


「ほへえ」


「観測者は、超越的存在である。

 世界とは、神秘を創造する箱である。

 幸福とは、存在が追い求めるべきモノである。

 狂気とは、幸福を無価値にする概念、凄い感情。

 化物とは、幸福を追い求めずに存在できる神秘。

 神秘とは、世界が創造付与した、世界を死守する要素。

 特異点とは、神秘の集積」


「観測者とは、なに?」


「観測者とは、未知を暴きたて、白日の下に晒す存在だ。

 観測者は、未知を暴くことが幸福だ。

 しかし、世界の未知を暴きすぎれば、世界はその瞬間に消滅する。

 世界は最大の謎、ワールドサスペンス、始まりの一を解明されれば、その瞬間に無くなる構造。

 だから、観測者はどれだけ幸福に成りたくても、二の足を踏まざるを得ないのだ」


「ふーん、それで?」


「だが本来的には、観測者が暴くべき未知など、この世界に存在しない。

 ゆえに、彼らは、ただ観測するのみである。

 この無上の闇に漂う世界を、あるがままに、無限に見通すように、観測し続けるのだ」


「うんうん」

 

「そのように永遠に存在し続ける彼らが、狂気的なモンスターなのか、どうか?

 唯一の最大の幸福を自制し、永久に存在する化物。

 そんな化物を飼い殺す、この世界自体が、最大級に狂気的な化物でない証明が、どこにある?」


「知らない、答えなんて、どうせ隠されている」


「そうだな」


「暴かれて、あるいは公開されても、それに意味なんてないでしょ。

 どうせ、究極的な謎は、永遠に隠され続ける。

 それこそ、世界の終わりが、始まらなければ、ね」


「それはありえない、世界が終わるなんて事態は」


「世界と観測者は、共依存の存在だしね。

 世界は己を隠すために、神秘を創造する。

 しかし神秘が強くなりすぎれば、世界すらも消滅させる」

 

「そうだ、世界は神秘に満ち溢れている。

 なぜなら、神が己の存在を隠し通すために、

 それだけの為に、世界は存在しているのだから」


「まあ、世界が存在しなければ、神が存在するだけなのだから、それは当然の帰結だろうね」


「で、

 観測者は、神の存在の秘密を握っている、ゆえに神と同格のステージに存在を至らせている」


「貴方は、第四の選択肢なの?

 この世界に生きる存在は、強制的な三択を強制される。」


「そうだな、俺は三択のどれにも当て嵌まらない」


「なんか観測者ってなに?って始めの疑問から、ずれてる気がする。

 根本的なところを、教えてくれない?」


「観測者は、世界と対立する存在だ。

 世界は、己の神たる絶対者を隠す、存在ともいえない存在だ。 

 世界は神秘を創造し、常に観測者を警戒しているからな」


「ふーん、それで?」


「観測者は世界を、己の管理、支配下に置き、

 何時の日にか、絶対者すら凌駕する、己が世界を創造しようと、日々暗躍している。

 観測者の切り札は、世界の真なる神秘。

 それを出せば、その瞬間に世界は消滅する。

 世界は譲歩し、観測者には直接的に手が出せない。

 だが観測者も、世界には直接的には手が出せない。

 お互いが間接的手法を持って、相手を亡き者にしようとする。

 これは世界と観測者が、争うゲームだ。

 お互いがイーブンな状態で、その存在性のみで争う、非常に実力主義に特化されたゲームだな」


「想像が難しい世界観ね。

 それで? 観測者はどうするの?」


「観測者は、世界の神秘の増大を堰き止める。

 なぜなら、観測対象が肥大化しすぎれば、観測者は観測し続けることが困難だからだ。

 しかし、世界の神秘が枯渇すれば、それはそれで、観測者は面白くない」


「観測者の正体は何?」


「っと観測者は、このように、己の存在を外宇宙からの、宇宙の侵略者。

 世界の外側から来た存在と、定義することも出来る」


「ああそう、観測者も、己の正体を秘密にして、神秘にあやかろうとするわけ?」


「違うな、外なる神とも言える、そういうのに、あやかろうとするわけで。

 決して世界や、その裏の神に、存在が決定的に依存するわけじゃない」


「設定があやしくなってきたわね、

 まあいいわ、今日は、このくらいで勘弁してあげる、ありがたく思いなさい」


 

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