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THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
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そこに残る結果

《サイド:美袋翔子》


「チェックメイト!!!」


矢を放った瞬間。


高速で放たれた光は瞬時に拡大分散して、

数百本の光の矢に姿を変えて総魔へと降り注ぐ。


「これは…っ!?」


ちょっとは驚いてくれたようね。


試合場を丸ごと飲み込むかのような無数の光の矢なのよ。


膨大な数の光に覆われて、

総魔の体が瞬く間に見えなくなった。


それでも容赦なく降り注ぐ光の矢はまるで流星のように試合場に突き刺さって、

数え切れない弾痕を生み出し続けていく。


これが私の本気。


そしてこれが私の最大の攻撃なのよ。


「これで通じなかったらバケモノよっ」


そんなふうに思うけれど、絶対に油断はしない。


総魔の反撃を恐れてすぐにその場を逃げ出す。


無駄に広い試合場をジグザグに移動して、

総魔の反撃を警戒しながら様子を覗う。


攻撃が通じたのかどうか?


その答えがまだわからないから。


手応えはあったと思うけれど、

実際に確認してみないことには判断できないから。


最大限の警戒を続ける。


その数秒後。


徐々に光が消失する試合場でそこに残る『結果』を見た瞬間に、

周囲から歓声が沸き起こったわ。


…と、同時に。


私の心が急速に冷え込んでしまう。


「これって…っ」


始めての事だったと思う。


私にとっても…

総魔にとっても…


あらゆる試合において、これは始めての事だったと思う。


自分自身の力にさえ驚いてしまったわ。


この結果は予想していなかったのよ。


「総…魔…?」


総魔は動かない。


開始線に立ったままで。


魔剣を構えたままで。


一歩も動けずにいるのよ。


「…通じたのね。」


私や沙織や真哉や観客達が目にしたのは、

攻撃が直撃して致命傷を負う総魔の姿だったわ。


「…と、いうことは…」


素直に喜びたいと思う心とは別に、

ここから本気の戦いが始まることを直感で感じとってしまったわ。


総魔がゆっくりと私に向かって体勢を整えているのが見えてしまったから。


だからこの状況に危機感を感じていたのよ。


「これは、逆に危険じゃない…?」


攻撃が通じたことで総魔を本気にさせてしまったってことよ。


ここから始まる戦いは私が最も恐れていた結果へと向かう気がするわ。


「ちょっ、本気で、怖いかも…っ」


総魔を本気にさせてしまったことに後悔すら感じてしまうけれど。


「ふっ」


総魔からすればこの状況は予測範囲内の出来事だったみたい。


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