西へ
《サイド:米倉美由紀》
さて、と。
ひとまず本陣を出発した私達だけど。
どこを目指すにしても行く手を阻む陰陽師の部隊がいるのよね。
「さあさあ!包囲網を突き抜けるわよ!」
戦場の離脱を急ぐために部隊を結集して一気に駆け出してみる。
「護衛部隊は後方を警戒!!御堂君は右翼から!北条君は左翼から!翔子は深海さんと栗原君の護衛!みんな頼むわよっ!!」
それぞれに指示を出して一直線に駆け抜ける。
今はまともに戦うつもりはないわ。
包囲網を突破して戦線離脱することが最優先なのよ。
だから正面から戦いを挑むつもりはないの。
とにかく先を急ぐために走り続けることだけを考えるべきなのよ。
ただただ戦場から離脱することだけを考えて魔杖『デス』の力を解放してみる。
「マインド・ブレイク!!!」
魔杖が輝いて暗黒の炎を生み出したわ。
「邪魔をするなら消えてもらうわよっ!!」
大声で叫ぶ私のルーンから解き放たれる炎が陰陽師の部隊へと降り注ぐ。
「「「「「ぐああああああああああああっ!!!!」」」」」
数百名もの陰陽師達が一斉に苦しみ始めて、
動きを止めた隙をついて御堂君と北条君が攻め込んだわ。
「スーパーノヴァ!!!」
「バーニングソウル!!!!」
敵の布陣を破壊することを優先した範囲系魔術によって陰陽師軍が二つに割れる。
御堂君の一撃が陰陽師の部隊を吹き飛ばして、
影響を逃れた陰陽師達を北条君が一掃したのよ。
これで退路は開けたわ。
「はっ!楽勝だぜ!」
余裕を見せる北条君だけど。
今はその余裕が誰よりも頼もしく思えるわね。
「さあ、その調子で今後も頼むわよ!」
全力で戦場を離脱する私達に続いて、
護衛部隊も西に向かって走り続けたわ。




