地震
《サイド:米倉美由紀》
ちょっ!?
なっ!?
「一体、何が起きたのっ!?」
突然の地震によって進軍を止めることになってしまったのよ。
「…って!?あれって王都の方角よね?」
まだまだ王都は見えない距離だけれど。
それでも深夜の空に煌々と輝く明かりと立ち昇る黒煙が、
王都で何かが起きていることを示しているのはすぐにわかったわ。
「王都で何かあったのでしょうか?」
「…そういうことよね。」
悠護の問い掛けによって、とある可能性を考えてみる。
「もしかして…?」
「総魔が何かしたのではないでしょうか?」
呟く私の言葉を御堂君が引き継いだわ。
でもまあ、やっぱりそう思うわよね。
離れた地にいる私達には何も分からないけれど。
天城君が兵器の調査の為に王都に向かったことは知っているからよ。
だから私達は自然とそう考えたの。
天城君が王都を攻撃したんじゃないかな?ってね。
「総魔ったら、一体、何をしてるのよ~っ!?」
ぼやく翔子だけど。
その隣にいる深海さんは心配そうな表情を浮かべているわね。
「何かの事件に巻き込まれてなければ良いんですけど…」
事件という言葉を聞いた瞬間に、翔子も不安を感じたみたい。
「う~ん。でもね~。総魔に何かあるとか考えにくいのよね~。でもまあ、そういう可能性もあるわけよね~?」
思い悩む翔子や深海さんだけど。
ここで悩んでいたって仕方がないわ。
だから私は悠護に指示を出すことにしたのよ。
「ここで迷っていても解決しないわ!急いで王都に向かうわよ!」
「はい!!」
素直に指示に従ってくれる悠護が再び軍の指揮をとってくれる。
「全軍前進!王都へ急ぐぞっ!!」
悠護の指示を受けて、再び行軍する共和国軍。
だけど。
王都はまだまだ遠いわね。




