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THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
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もののついで

《サイド:天城総魔》


翔子と沙織が去ったあと。


残されたのは北条と俺の二人だけになった。


だからというわけではないと思うが、

北条が俺に振り返って話しかけてきた。


「それで、どうするんだ?」


北条の問い掛けは単純だ。


翔子との試合まではまだ3時間ある。


その時間をどう過ごすのかという意味だろう。


「そうだな。さっきの試合で少し思う事があったからな。せっかくの時間だ。色々と考えてみようと思う」


素直に答えたことが気に入ったのだろうか?


北条ははっきりとした笑顔を浮かべていた。


「ははっ、やっぱりまだ何か企んでやがったか」


北条は気付いていたようだ。


密かに第4の力を模索している事に北条は気付いている。


「さすがにすぐ傍にいられると隠しようがないな」


「ははっ。まあ、それは仕方ねえだろ。でもまあ、それが何かまでは俺にもわからねえからな。深く詮索するのはやめておくさ」


残り時間は『僅か』3時間だが『まだ』3時間あるとも言える。


それまでにどんな力を手にするのか?


そして翔子とどんな戦いを見せるのか?


北条なりに興味を抱いているようだった。


「もののついでだからな。翔子との試合も見届けさせてもらうぜ」


「ああ、好きにすればいい」


「ははっ!!翔子もそうだが、お前もそうとう変わってるな」


「さあ、どうだろうな」


「はっはっはっは!ホントにおもしれえやつだな」


すでに北条の中では俺が敵であるという認識はないのだろう。


味方かと問われればそれも肯定出来ないだろうが、

敵にもならないと思っているようだ。


だからだろう。


北条は純粋にこれからの出来事に興味を持っているように思える。


未だに把握しきれない俺の実力に興味を抱きつつ。


いつか必ず戦う日が来るであろう事を感じながら、

その日が来る事を待ち遠しく感じているようだ。


「まあ、時間はあるんだ。ゆっくり考えればいい。とりあえず俺は飯でも食って来る」


緊張感のない言葉を残してから北条も会場を出て行った。


その後姿を見送ってから時計に視線を向けてみる。


いつの間にか、正午が過ぎているようだ。


時計の針はまもなく1時になろうとしている。


翔子との試合が3時間後であることを考えれば、

食事を取っておくのも悪くはない判断だろう。


北条と同様に昼食でもと考えてみたのだがその考えはすぐに捨てた。


1食程度なら抜いても問題はないからな。


それよりも今は他にやるべき事がある。


現状でも翔子と戦えるのは間違いないはずだ。


だが、現状で満足するつもりはない。


常に新しい力を求め続けて『さらなる高み』を目指すつもりでいる。


だからこそ、もっと突き詰めるべきなのだ。


考えるべきことは沢山ある。


残された時間は3時間。


翔子を乗り越えて、その上を目指すために。


まずは待合所に向かう。


そして翔子が訪れるまでの間に新たな力に関してじっくり考えることにした。


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