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THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
841/4820

更衣室

《サイド:栗原徹》


はぁぁぁ…。


緊張のあまり、ため息が止まりません。


それでも朱鷺田さんに案内されるまま、更衣室の前までたどり着きました。


こんなに簡単に内部を移動できるとは思っていなかったのですが、

やはり朱鷺田さんはすごいですね。


僕には真似できそうにありません。


「急いでください」


小声で僕に呼び掛ける朱鷺田さんは堂々とした態度で室内へと入っていきます。


「ぁ、はい。すみません」


僕も慌てて更衣室に入りました。


そして更衣室を見回してから再び息を吐きます。


まあ、ため息というよりは安堵の吐息といったところでしょうか。


室内には誰もいなかったからです。


誰かいたら面倒だと思っていたのですが、

幸運にも今は誰もいないようでした。


「好都合ですね」


朱鷺田さんはランプの明かりが灯る室内をゆっくりと捜索し始めます。


「何を探しているんですか?」


「もちろん研究所の服ですよ。白衣でも何でも良いんですが、この研究所の服さえあれば、表の警備を突破することはたやすいですからね」


ああ、なるほど。


砦で行った変装の研究所仕様ということですね。


朱鷺田さんの説明を聞いて目的を理解した僕も研究所の制服を探し始めました。


…と言っても。


それは僅かな時間だったと思います。


室内には時計もありますので何度も確認していたのですが、

おそらく2、3分程度だったはずです。


すぐに目的の物を見つけだした僕達は、迷うことなく着替えを始めました。


朱鷺田さんは今まで来ていた服を着替えて、研究所の制服に着替えています。


ですが僕は上着のコートを脱ぎ捨ててから、

学園の制服の上から白衣を羽織っただけです。


「これでも十分だと思うんですけど…」


白衣の前をしっかりと止めると制服は全く見えません。


なので一目、見ただけなら十分ごまかせるかもしれません。


そんな気がします。


「ええ、良いと思いますよ。全く同じ服装よりも違った方が行動しやすいでしょうからね」


朱鷺田は自分の服と僕のコートを棚の奥に隠しました。


「さて、あとは残りの3人をどうやって内部に招き入れるか…ですね」


「何か案はあるのですか?」


問い掛ける僕に朱鷺田さんは、曖昧な笑顔を浮かべて答えます。


「正直苦しいところですが、何とかするしかないでしょう」


朱鷺田さんは部屋の扉に手をかけました。


「ここで待っていて下さい」


そしてそのまま更衣室を出て行ってしまいました。


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