演技?
《サイド:三倉純》
ふう。
どうにか作戦成功ね。
朱鷺田さんと栗原君が研究所に忍び込んだのを見届けたことで、
さっさと入口から離れることにしたわ。
「ご丁寧にありがとうございます。多分…行けると思いますので、これで失礼します。お世話になりました」
兵士達にお礼を言ってから歩き出す。
もちろん兵士の指示通りの道を進んでいくわよ。
そうして研究所から死角に入ったところで、ほっと息を吐いてみる。
「うわぁぁ~。久々に緊張したわ」
さすがに直接話し合うっていうのは難しいわよね。
もうすでに把握できてるのに、
わからないふりを続けるっていうのも大変だったわ。
「もう二度としたくないわね~」
本気で呟く三倉を見て、愛里ちゃんは微笑みを浮かべてた。
「やっぱり純さんは凄いです!」
「え?そう?」
「はい!」
尊敬の眼差しを浮かべてくれる愛里ちゃんを見て、苦笑いを浮かべてしまったわ。
「もう一度やれって言われても上手くやる自信はないけどね~」
今回はたまたま上手くいっただけよ。
…と言うか、むしろあれよね。
愛里ちゃんが泣きそうな演技(?)をしてくれていたから兵士達を油断させることができただけで、
私一人だったら成功してたかどうかわからないわ。
「とりあえず、元の場所に戻りましょう」
天城君も帰ってくるだろうしね。
愛里ちゃんを連れて、
来た道を迂回しながら路地裏まで戻ることにしたわ。




