表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
823/4820

アストリアの目的は

《サイド:常盤沙織》


そろそろ正午を過ぎた頃でしょうか?


砦の中央からやや東側に位置する広場で、

ようやく全ての部隊が合流しました。


私も所属している理事長の部隊に合流したのは北門を制圧した鞍馬さんの部隊と食糧を確保してから合流した悠護さんの部隊です。


3つの部隊の残存兵力は、およそ2万4千だそうです。


昨晩は3万5千の部隊だったのですが、

これまでの戦いによっておよそ3分の1が失われたことになります。


「それでもね?10万の大軍に対して1万程度の犠牲で済んだこと自体が奇跡的だと私は思うわ」


ええ、そうですね。


理事長の気持ちは私にも理解できます。


普通に考えれば3倍もの差がある軍隊に勝てるとは思えません。


それでも共和国軍が優勢に立っているのはアストリア軍が兵士ではない一般人だったからです。


もしもここにいるのが正規の軍隊であれば被害はさらに大きくなっていたはずですし。


場合によっては共和国軍が敗走していたかもしれません。


「敵が弱いから勝ててるけれど、逆に言えば使い捨ての駒をぶつけられて消耗を強いられてるとも言えるのよね」


それもそうですね。


それは私も同感です。


使い捨てという表現はどうかと思いますが、

アストリア軍の狙いは共和国軍の殲滅ではなくて魔力の消耗のように思えます。


「魔力を消耗させて、私達を弱らせる作戦でしょうか?」


「間違いなくそうでしょうね。そこにどれほどの意味があるのかは知らないけれど、何らかの目的があるはずよ」


目的、ですか…。


アストリア側の目的は何なのでしょうか?


「私達を全滅させるために正規の軍が砦の周囲に待機している、とかでしょうか?」


「だったら困るけど、たぶんそれはないわ。周囲の探索はちゃんと行ってるし、伏兵がいるという情報は今のところないわ」


それでは何でしょうか?


私達を弱らせておきながらも追撃しないというのは不自然です。


戦いが終わってしまえば魔力は自然と回復していきます。


それなのに何もしないのであれば、

一般の方々を戦わせる意味がありません。


「共和国軍を砦で足止めすることに意味があるのでしょうか?」


「まあ、それが一番ありえる話だけど、結局それでどうしたいのかが不明なのよね~」


足止めをする理由。


そこが分からないままです。


「とりあえずはもう少し様子を見るしかないわね」


ええ、そうですね。


「色々と疑問はあるけど、今は出来ることをやっていくしかないわ」


それも分かっています。


「これから、どうするのですか?」


「まずは砦の制圧ね。こっちの被害も大きいけれど、アストリア軍の被害はそれ以上なのよ。この砦を奪い取って、私達の拠点にするのが第一段階かしら」


これまでの各地の報告をまとめた結果として敵軍の死者は8万にも及ぶことが分かっています。


負傷者の人数は不明ですが、

まともに戦える兵士のほうが少ないのではないでしょうか?


アストリア軍で残っているのは各門の防衛に失敗して逃走した方々がほとんどのはずです。


なのでアストリア軍の残存部隊は共和国軍と同程度か少ないくらいではないでしょうか?


数の差はすでに埋めましたので、

あとは魔力がどこまで持つかという部分になります。


「そのあとで砦を出発して王都まで遠征するのが第二段階かしらね」


砦の中央付近に位置する拠点を制圧出来ればこの戦いは勝利です。


そのため。


次の戦場に進むことを考えなければいけません。


「王都で天城君達と合流して正体不明の兵器を破壊するのが最終段階かしら?まあ、問題の兵器が王都にあるかどうかは知らないけどね」


そうですね。


そこも問題です。


「もしも王都にない場合は?」


「探すしかないわ」


…ですよね。


「見つかるでしょうか?」


「その情報を探るために天城君は先行してるわけだから見つけられると信じるしかないわね」


そうですね。


「とりあえず、先のことはあとで考えるとして。今は私達にできることをやるしかないわ」


まずは砦を制圧すること。


そのために、理事長は全部隊に指示を出しました。


「今から休憩をとるわよ!今のうちにしっかりと食べて、しっかりと体を休めなさい!日が暮れる前には敵の拠点に攻め込むわよ!!」


理事長の指示によって、

見張りを除く全ての部隊が僅かな休息に入ります。


敵軍の砦の内部なので心までは休めませんが、

体だけでも休めておかなければ後が続かないと思うからです。


幸いにもこちらは魔術師です。


怪我の治療は比較的簡単に行えます。


ですが、アストリア軍はそうはいきません。


怪我人は怪我のままで手当程度にしか処置が出来ないはずです。


油断は出来ませんが、即座に攻勢に出てくるとも思えません。


数時間程度なら安全のはずです。


そう判断したうえでの休息でした。


「今のうちに魔力の回復を急ぐわよ」


「はい」


食事を行いながら、私達は魔力の回復に努めることになりました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ