共和国を守る盾
《サイド:岸本克也》
「…全員の魔力が尽きたか…」
最後の抵抗を試みたことで、
仲間達は魔力を失ってしまったようだ。
もはや意識を保っている者のほうが少数だろう。
誰もが大地に膝をついてうずくまってしまっている。
ここが限界だ。
今となってはもう歩くことさえままならない。
そしてそれは私も同様だ。
魔力が底を尽いてしまって意識も薄れようとしていた。
だが…。
このまま諦めてしまうようでは司令官としての名が廃る。
仮にも国境警備隊の司令官として戦場にいるのだ。
たとえ戦えないとしても、
最後まで果敢に立ち向かう覚悟だけは見せ続けなければならない。
それが私が私であるということなのだ。
「この命がある限り!この先へは一歩も通さん!!!」
最後まで意地を張り通してみせる!
「私の名は岸本克也!アストリアの進軍を防ぎ!共和国を守る盾だ!!例えこの身が朽ち果てようとも、決して共和国に手出しはさせんっ!!!」
この身を盾として仲間を守ってみせる!!
その誓いを宣言した直後に…
『ドスッ!!!』と、一本の矢が俺の胸に突き刺さった。
「ぐ…ぅっ!?」
続々と放たれる矢が次々と突き刺さる。
「がっ…あ、あっ…!!」
口から血が溢れ出す。
どうやら内蔵がやられてしまったようだ。
だが、この程度で倒れるつもりなどはない!!
「守ると、誓ったのだっ!」
木村副隊長が戦線を離脱するまで決して死にはしない!
「私は、国境を守護する者だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『ドスドスドスッ!!!!』
「が、は、っ!?」
次々と放たれる鉄の矢が俺の体を突き抜けていく。
射抜かれた体から流れ出す血が大地を染める。
だがそれは周囲の仲間達も同様だろう。
果敢に戦った仲間達も、鉄の矢という冷たい雨を受けて次々と人生を終えてしまう。
そして…。
「ぐ、ぅっ!!」
一本の矢が、俺の心臓を貫いた。
「がはっ!?」
く、鞍馬様…!
米倉様…っ!
すみません…。
私は…ここまで、です…っ。
「それでも…っ」
残された気力を振り絞って、最後まで使命を全うしようと思う。
「…共和国に…勝利を…!!」
それが最後の言葉だっただろう。
数え切れないほどの矢を受けた私は…
ついに意識を手放して崩れ落ちてしまった。




