予想以上
《サイド:美袋翔子》
「とまあ、そんな感じね」
話し終えた美春を呆然と眺めながら、
私は背中に冷たいものを感じてた。
予想以上としか言いようがないからよ。
もうそんな言葉しか思い浮かばないの。
はっきり言ってここまで急成長するとは思っていなかったわ。
血の気が引いていく瞬間が自分でもはっきりと分かってしまう。
何なのこれ?
ここまで、変わってしまうものなの?
今朝の段階ではそこまでの実力はなかったはずよね?
少なくともこれまでの試合は全て確認してきたのよ。
最後の検定会場でそんな無茶ができるほど強かったようには思えないわ。
それなのに、私が寝ている間に事態は急変してる。
それも、たった半日なのよ?
もっと厳密に言えばホンの5時間程度なのよ?
総魔から目を離していた時間は本当にそれだけなの。
それだけのはずなのに。
まるで別人のできごとのように事態は急変してることが信じられなかったわ。
一体、どこまで強くなるの?
私との実力差はどこまで埋まっているの?
私が顔を青くしていると、
隣にいた沙織は気づいてくれたみたい。
そっと気遣うかのように沙織は私の手を握りしめてくれた。
だけど、それだけ。
「………。」
沙織は何も言わなかったわ。
無理に何かを言おうとはしなかったのよ。
でもね。
沙織の手から伝わる温もりが冷え切った私の心を温めてくれた気がする。
まだ、大丈夫だよね?
親友が傍にいてくれるから恐れることは何もないわ。
沙織の優しさを感じつつ。
混乱する頭の中で必死に話を整理しながらどうするべきかを考えてみる。
だけど、すぐには結論が出ない。
だから美春に尋ねてみることにしたわ。




