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THE WORLD  作者: SEASONS
4月16日
753/4820

2つの問題

《サイド:近藤悠理》


うぅぅぅぅぅぅぅ~。


あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!


最悪ぅ…。


ああ、もう~っ。


どうしてこうなるのよ~!


まだまだ早朝って言える時間帯なのに。


私はすでにちょっとした問題を抱えていたわ。


まあ、色々と言いたいことはあるんだけどね…。


とりあえず、どうにもならない問題が2つあるのよ。


どっちも面倒なんだけど…。


さしあたって二つ目が致命的かな?


1つ目に関しては、すでにどうしようもない部分なんだけど。


優奈を追い掛けようとした先でお爺ちゃんがいたことよ。


家にいても怖いのに、

学園にいてまで会いたくないわ。


だから…ね。


正直に言うと、お爺ちゃんに会うことに対して嫌気を感じてるから、

優奈を追い掛けることを断念して来た道を引き返してきたのよ。


で、代わりに優奈と合流できる場所を考えて校門を選んだんだけど…。


その結果として新たな問題を抱える事態になってしまったわ。


それがつまり、二つ目の問題なわけで…。


「あ~、もう~~~っ!!!!!!」


こうして叫ぶのは久しぶりかもしれないわね。


でもね?


わりと本気で困ってるの。


「いい加減にしてよっ!!」


本気で願ってしまったわ。


だけど私の願いは叶わないのよ。


逃げても逃げても悪夢が背後から追いかけて来るの。


「もう嫌~~~~~~~っ!!!!!」


背後に迫る人物から逃げるために全力で距離をとり続ける。


「追いかけてこないでよっ!!!」


こっちは必死に願ってるのに。


私の願いはあっさりと聞き流されてしまったわ。


「俺と勝負しろ!悠理ーっ!!!」


人の言うことを聞かないあの馬鹿が、

どこまでも私を追いかけてきちゃうのよ。


うぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!!


あ~、もう~っ!!


本気でうっとうしいわね~っ!!!


しばらく聞いてなかった言葉を聞いてしまったことで、

激しくため息を吐いてしまったわ。


「何度も同じことを言わせないでよっ!!あんたなんかじゃ、相手にならないって言ってるでしょ!!いい加減に分かりなさいよねっ!」


必死に叫んで逃げようとする私だけど。


それでも馬鹿はこりもせずに追い掛け続けてきたわ。


「悠理に勝つまで絶対に諦めないぞっ!」


全力で追い掛けてくる馬鹿に諦める気配はないようね。


結構本気で走ってるんだけど。


全然振り切れそうに思えない。


それでも必死に息を切らせながら全力で逃げ続けたのよ。


なのに…。


「待てええええええええっ!!」


大声で叫びながら追い掛けて来る馬鹿はどうあっても諦めないみたい。


うううう~~~~。


し・つ・こ・い・の・よっ!!!


全力で走っても振り切れないようね。


だったら、もう、諦めるしかないわよね?


逃げきれないと判断したことで、

密かに魔術の詠唱を始めることにしたわ。


…え~っと。


どうしようかな?


このまま攻撃しようかな?


…でも、ね。


風紀委員でもない一般の生徒が学園内で魔術の使用を許可されている場所は限定されてるのよ。


喧嘩で使用すれば校則に違反して処分を受けることになるわ。


それでもね?


この状況だとね?


他にどうしようもないわよね?


特に被害がなければ大目に見てもらえることもあるみたいだし。


馬鹿の馬鹿さ加減はすでに学園中で有名のはずだし。


運が良ければ怒られないはず。


まあ、他に被害があれば何らかの処分はあるかもしれないけれど。


馬鹿一人の被害なら誰も困らないはずよね?


そう信じて全力で魔術の詠唱を行うことにしてみたわ。


「馬鹿は1回、死になさいっ!」


放つのは炎の玉よ。


中級の炎系魔術だけど。


私にとっては最高威力の攻撃魔術になるわ。


「ファイアー・ボール!!!」


真っ直ぐ後ろにはなった炎の玉は確実に馬鹿に直撃してはずよ。


立ち上がる火柱が馬鹿を飲み込んだのが見えたしね。


いつもならここで倒れるはず…なのに。


「まだまだぁぁぁっ!!!!」


馬鹿が炎を突き抜けて走り続けてきたのよ。


「うそぉっ!?」


なんでっ!?


なんで炎が効かないのよっ!!!!


炎を突破した馬鹿の姿を見た瞬間に恐怖を感じてしまったわ。


…だけど。


叫んだところで現実は変わらないのよ。


必死で逃げ続ける私を馬鹿が追いかけてきちゃうの。


うああああああっ!!!!


もう無理~~~~っ!!


誰か助けて~~~~っ!!!


本気で救いを求めながら全力で逃げ続ける。


そんなふうに命懸けの逃走を続けていたせいか、

ようやく視線の先に救いが見えたわ。


「やった!助かるっ!!」


走るのに疲れながらも笑顔を浮かべてしまったわ。


視線の先で馬車を走らせる理事長の姿が見えたからよ。


「助けてください~!!!!」


叫ぶ私に気付いて、理事長が馬車を止めてくれたみたい。


やった~!!


馬車が止まった直後に馬車の中へと逃げ込むことにしたわ。


これでもう大丈夫…なんて思ったその直後に。


「逃がさないぞっ!!!」


何故か馬鹿まで馬車に乗り込んできちゃったのよ…。


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