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THE WORLD  作者: SEASONS
4月16日
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答えの出ない問題

「おはようございます」


一番最初に合流したのは沙織だったわ。


「あら、早かったわね」


微笑む私に、沙織は礼儀正しく一礼してくれる。


「あまり長く居すぎると決意が鈍ってしまう気がしましたので、早めに出てきました」


ああ、なるほどね。


その気持ちは理解できるわ。


沙織の言葉を聞いたことで、

またため息を吐きたくなってしまったわね。


家族との別れ。


そして命を失う覚悟。


沙織も死を受け入れる覚悟を決めて戦争に向かおうとしているからよ。


その気持ちを察してしまったせいで、

どうしても落ち込んでしまうわね。


私の力で守り切れるのかしら?…ってね。


答えの出ない疑問を考えてしまうからよ。


沙織や天城君を含めた生徒達。


みんなの命を守りきれるのかどうか?


正直に言えば自信なんてないわ。


そもそもの前提として私自身も生き残れる保証なんてどこにもないからよ。


…と言うか。


状況次第では死んだほうがましかもしれないけど…ね。


捕虜となって人質にされるのはごめんだし。


女性として最悪の展開に直面するのは避けたいと思うわ。


ただ、それでも学園を代表する人間として、

せめて生徒達だけでも守りたいとは思うのよ。


もちろん国を代表する者としては、

この国に住む全ての人々の平和を願うけどね。


立場的には共和国全土の安定を願うけれど。


個人的には手の届く範囲での大切な人達の平和を願ってしまうのよ。


いつか戦争が終わる時に、誰も悲しまない結果を願うわ。


まあ、それは実現不可能な願いかもしれないけれど。


それでも願いたいと思うのよ。


全ての人々にとって幸福な結果であることを。


ただそれだけを祈っているわ。


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