2時間弱
《サイド:天城総魔》
さて…。
すでに時刻は午前2時を過ぎた頃だろうか。
着替えを済ませた俺達は再び集合することにした。
「とりあえず着替えは袋に詰め込んで水路に隠しておくわよ~」
三倉が俺達の服を布袋に詰め込んでいく。
そして布袋を水路の入口に隠したことで、一通りの準備が整った。
「それで、これからどうするかよね?」
「砦の規模が規模ですので手分けをした方が良いでしょう。」
調査の方針を問い掛けてくる三倉に朱鷺田が答える。
「固まって行動する方が不自然ですし、何より砦を一周する時間もありませんので」
ああ、そうだな。
脱出までの予定を考えるなら長時間とどまるのは危険でしかない。
1秒でも早く撤退するために効率最優先で行動するべきだ。
「調査内容は各自の判断で別行動でいいだろう。集合はこの場所。時刻は4時にする」
おそらく、それを過ぎればここに人が集まるだろうからな。
朝になれば料理人達が仕込みのために集まるはずだ。
いや、その前に清掃係が集まるかも知れない。
具体的な時間は不明だが、
時間という制限は確実にあるだろう。
そのため。
2時間弱で調査を終える必要がある。
「それでは、私は一足先に行かせていただきます」
朱鷺田は足早に立ち去った。
「俺も行くが、二人は共に行動した方がいいだろう」
安全を考慮して指示を出しておく。
愛里一人では緊急時に対応できるとは思えないからな。
三倉に同行させておけば多少は安全に行動できるはずだ。
「無理はするなよ」
念を押してから俺も外へと歩き出す。
「気をつけてね」
「気をつけてください」
二人に見送られながら、砦の調査を始めることにした。




