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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
724/4820

次は一緒に

《サイド:深海優奈》


悠理ちゃんと再会してから、

どれくらいの時間が過ぎたのでしょうか?


それほど長時間ではないと思うのですが、

それでも時間を気にせずにずっと話を続けていたように思います。


悠理ちゃんと二人きりの部屋で、

この3日間の思い出をお互いに話し合っていたんです。


私の話題は魔術大会での経験や初めて行ったグランバニアの感想などです。


悠理ちゃんの話題としては学園生活です。


話を聞いた限り、試合はしていなかったようですね。


毎日、教室での授業と図書室での自習で勉強ばかりしていたそうです。


「いいな~。私も行きたかったな~」


「そうだね~」


羨ましそうな表情の悠理ちゃんを見て、私は微笑みました。


「次は一緒に行けるといいね」


悠理ちゃんと一緒なら、きっと楽しくなると思うからです。


ですが、悠理ちゃんは考え込むような仕種を見せていました。


「う~ん。でもね~。正直に言って、ここまで成績をあげられたことが奇跡的だから、今よりも成績を伸ばすのは難しい気がするのよね~」


成績ですか…。


どうなのでしょうか?


悠理ちゃんの生徒番号は9999番です。


ファースト・ステージは突破していますが、

セカンド・ステージでは最下位扱いです。


サード・ステージにはかなり遠いですし、

フォース・ステージは難しいかもしれません。


私も魔術師としては下位の実力しかありませんのであまり人のことは言えないのですが、

努力だけではどうしようもない部分はあると思います。


それでも個人的な感想として、

悠理ちゃんはすごいと思っています。


もしも私に吸収の能力がなかったとしたら、

今の悠理ちゃんに追いつける自信がないからです。


学園としてはあまり良いとは言えない数字かもしれませんが、

悠理ちゃんや私自身の実力を考慮すれば、

セカンド・ステージに進めたことは大健闘と言える成績ではないでしょうか?


もしも総魔さんのように吸収の能力を指輪で封じたとしたら、

私は一生ファースト・ステージにいるような気がします


きっと武藤君とどちらが最下位かで争っていたと思うんです。


そんな私達だから翔子先輩や御堂先輩達のような学園を代表する方々と比べると

悠理ちゃんの成績は劣っているように見えるかもしれません。


ですが一般的な生徒の実力を考慮すれば、

悠理ちゃんの努力は評価する価値があるはずです。


だからと言って悠理ちゃんが魔術大会に参加しても活躍出来るかどうかと問われれば

たった1勝を上げることさえ出来ないかもしれませんが…。


それでも私は思うんです。


頑張れば頑張った分だけ成長できるということをです。


私がここまでこれたように、

悠理ちゃんだってまだまだ成長できるはずなんです。


私が総魔さんと出会えたように、

悠理ちゃんも何かのきっかけがあれば今よりも成長できると思います。


だからいつの日にか、

悠理ちゃんと一緒に大会に行ければいいな…と思います。


その為には悠理ちゃんの成長も必要なのですが、

それ以前に私が生きて帰ってくることも重要な条件になります。


この戦争で死んでしまったら、どんな夢も叶いません。


悠理ちゃんと楽しい思い出を作ることもできなくなってしまうんです。


その悲しい結末を避けるためには、

生きて帰ってこなければいけません。


総魔さんを見つけて。


みんなで協力して。


戦争を終わらせて。


生きて帰ってこなければいけないんです。


「大丈夫だよ!頑張ればきっと、まだまだ成長できるよ。絶対に!」


「う~ん。だといいんだけどね~」


「応援するよ」


「うん。ありがと、優奈」


精一杯励ましたことで、悠理ちゃんは笑ってくれました。


これで…。


ひとまずはこれで一通りの思い出話を終えることができたと思います。


あとは、これからのことを話す時間です。


ごまかすつもりはありません。


嘘をつくつもりもありません。


もちろん黙って行くこともしません。


全てを話してから悠理ちゃんと別れるつもりでいます。


そのために。


真剣な表情で悠理ちゃんと向き合うことにしました。


「ねえ、悠理ちゃん」


「ん?」


これから始まる戦争のこと。


そして戦争に参加することを話そうと思います。


親友として、しっかりと悠理ちゃんと向き合って、正直に話をしたいと思うんです。


「あのね、悠理ちゃん」


「どうしたの?」


不思議そうな表情で私を見つめる悠理ちゃんに、

あえて今までの会話で触れなかった本当の自分の気持ちを話すことにしました。


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