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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
721/4820

二日ぶりの再会

《サイド:深海優奈》


時刻は午後10時30分頃でしょうか?


実家で両親と別れを告げた私は、学園にある女子寮へ帰ってきました。


…と言っても。


今から向かう場所は私の部屋ではありません。


向かうのは自室ではなくて、悠理ちゃんのお部屋です。


戦争に向かう前に、もう一度悠理ちゃんに会いたいと思うからです。


悠理ちゃんは私にとってたった一人の親友で、守りたいと思える人なんです。


戦争の犠牲にはしたくない大切な友達だから、

悠理ちゃんにはちゃんと別れを告げるつもりでいました。


ですが今回の別れは以前とは違います。


努力の先に再会があった前回とは違うんです。


今回の別れはもう2度と会えないかもしれません。


生きて帰ることが出来なければ、もう会うことは出来ないからです。


それは十分に理解しています。


向かうべき場所は戦場ですし。


『命の奪い合い』を行う場所であることを知っています。


だから思うんです。


全員が生きて帰って来られる可能性は『奇跡』に近いということをです。


誰かが死ぬかもしれません。


それは総魔さんかもしれませんし。


翔子先輩や龍馬先輩かもしれません。


そして同時に思いうんです。


命を落とすことになるのは、死んでしまうことになるのは自分かもしれない…と。


もちろん死ぬつもりはありません。


そしてその想いは誰もが同じはずです。


それでも誰も死なないということはありえないと思います。


必ず誰かが死んで、誰かが生き残るんです。


そういう場所なんです。


だから、どれだけ思いを込めても最終的にどうなるのかは誰にも分かりません。


私達が全員死んで共和国が滅亡する可能性だってあるんです。


その反対に私達の努力次第でアストリア王国が滅亡する可能性もあるのかもしれませんが、

どうなるのかなんて分かるはずもありません。


だから私は最期になるかもしれない今日という日を悠理ちゃんと共に過ごすことを選びました。


悠理ちゃんにとっては悲しい別れかもしれませんが、

私にとっては幸せな思い出になると思うからです。


そしてその幸せさえあれば私は頑張ることができると思います。


家族や悠理ちゃんを守れるのなら戦争に参加するのも怖くありません。


そのために悠理ちゃんのお部屋の前に向かいました。


たどり着いた扉の前で『コンコン』と扉を叩いてみます。


「…はい?」


少ししてから悠理ちゃんが返事をしてくれました。


ノックの音に気付いた悠理ちゃんが扉を開けてくれたんです。


そして次の瞬間に。


「あっ!優奈!!」


悠理ちゃんが笑顔を見せてくれました。


「帰ってきたんだ!おかえり、優奈」


「うん。ただいま!悠理ちゃん♪」


驚く悠理ちゃんと微笑む私。


私達は丸々二日ぶりの再会を果たしました。


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