未来を託す価値
《サイド:御堂龍馬》
「おめでとう、御堂君。」
理事長が労いの言葉をかけてくれた。
「良く頑張ったわね。あなたの示した勇気は必ず多くの人々の心に残るはずよ。」
勇気か…。
どうなのかな?
自分ではよくわからない。
前回までの僕なら素直に喜べたと思うんだけど。
今回は多くの人の前で総魔に敗北した姿を見せてしまったから。
さすがに手放しでは喜べないと思ってしまうんだ。
だけどそれでも理事長は僕の活躍を褒め称えてくれていた。
「全ての魔術師の未来の為に、あなたの存在は必ず意味を持つはずよ。だからこれからも自信を持って前に進んでね。あなたにはこの国の未来を托す価値があるの。そのことだけは忘れないで」
未来を託す価値、か…。
笑顔と共に差し出された表彰状だけど、
僕には理事長の言葉の真意は分からない。
だけどそれでも今は迷わずに表彰状を受けとる。
この表彰にどれ程の意味と、どれ程の価値があるのかはまだ分からないけれど。
それでも前に進み続けることを止めるつもりはないからだ。
未来のことなんて分からない。
それでも総魔を追い続けることで今よりも成長出来ると信じて、
表彰状を受け取ることにした。




