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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
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中立

《サイド:北条真哉》


「みんなで頑張りましょう」


どうやら沙織は翔子と共に歩むつもりのようだな。


沙織の言葉を聞いて、翔子が大きく頷いている。


「絶対に総魔を見つけだすわよっ!」


「はいっ!」


「ええ」


力強く宣言する翔子に優奈と沙織が笑顔で頷いていた。


まあ、この3人の関係は以前からこんな感じだが。


今回のことでより一層絆が深まったっていう感じがするな。


総魔を捜す…か。


盛り上がる3人の女子から少し離れた場所にいる俺は、黙って成り行きを見守っていた。


色々と言いたいことはあるんだが、

現時点では俺が口出しすべきことじゃないと思ってるからな。


だから余計な口出しするつもりはなかった。


個人的な意見を言ってしまうなら興味がねえってところか。


さすがにそれを言ってしまうと文句を言われそうだから言わねえが、

俺は誰よりも複雑な心境かもしれねえな。


龍馬のように総魔を尊敬しているわけでもねえし。


翔子や優奈のように総魔に対して思い入れがあるわけでもねえ。


もちろん沙織のように翔子の為になんて思えねえ。


それ程、総魔と関わりがあるわけじゃねえし。


敵対してた思い出しかねえからな。


まあ、面白いやつだとは思うがその程度だ。


嫌う理由はねえが好きになるほどの理由もねえって感じだな。


一応これまでの行動を考慮して仲間とは認めているが、

それは他の特風の生徒と同程度でしかねえ。


俺にとって総魔の行動は思い悩む程ではないってことになる。


一言で言うならあれだ。


『中立』ってやつだな。


俺の目標は『龍馬を越えること』だった。


そして気の合う仲間の為に力を貸すことだな。


はっきり言うなら大会の存在自体もそれ程、興味はねえんだ。


結果がどうこうよりも戦いそのものを楽しんでる部分があるからな。


楽しければそれでいい…っていう考えだ。


だから龍馬や翔子達とは違って俺は一歩引いた目線で事態を観察していた。


「…ったく、何だか面倒なことになってきたな。」


呟いてみたが俺の声が聞こえたやつはいねえだろうな。


誰かに聞いてもらいたいとも思わなかったからそれでいい。


一人だけ違う目線で見守る状況だが、それでも俺は思う。


仲間の為に、ってな。


総魔に思い入れはなくても、

龍馬や翔子達が向かう先には俺もいたいって思うんだ。


総魔の為とは思えねえが仲間の為なら共に行動出来る。


これから何が起こり、どういう状況になるのか知らねえが。


それでもな?


それでもいいと俺は思ってる。


総魔がどこへ行ったか?ではなく、仲間がどこへ向かうのか?


それだけが俺の知るべきことだ。


「これからどうなるかなんて知らねえが、あいつらと一緒なら…まあ、悪くねえか」


それぞれの想いを胸に試合場を眺める。


ようやく表彰式が始まるようだ。


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