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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
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まずは行動

《サイド:常盤沙織》


ここで泣いてしまうわけにはいきません。


悲しみを分かち合うことも大事だとは思いますけど、

一緒に泣き出すわけにはいかないと思うからです。


私の願いは『翔子の幸せ』です。


翔子には笑顔でいて欲しいんです。


だから今は翔子の為に向き合うことを選びました。


「翔子はもう彼のことを知っているの?」


訊ねてみると、翔子は小さく頷きました。


「…うん。知ってると思う」


曖昧な返事ですね。


ですが今の私や龍馬に比べれば、

翔子のほうが詳しいのは間違いなさそうです。


「そう。だったらこれから何が起きるのか。そして何をするべきなのか分かるわよね?」


「う、うん…。」


優しく問い掛けることで、翔子は再び頷いてくれました。


「分かってる。だけど…ね」


懇願するような視線でした。


恐怖に染まる翔子の瞳を見つめながら、私は精一杯の笑顔を見せることにします。


「あとのことはその時に考えれば良いと思うわ。」


まずは行動することが大事だからです。


「動き出さないことには結果なんて出ないって、彼が教えてくれたはずよ?」


それが精一杯の説得でした。


今の私にはそれが精一杯だと思います。


私はまだ何も知らないからです。


これから起こることも。


これから始まる出来事も。


もちろん彼の過去も何も知りません。


そんな私に言えることなんて、正直、何もないと思います。


だから今はこれが精一杯の説得でした。


ですがそれでも…。


それでも翔子は納得してくれたようですね。


私の心からの言葉を聞いて、

翔子の瞳に微かに光が戻ったのが分かりました。


「…私…」


囁くような声でしたが、

それでも私は嬉しく思います。


翔子が前へ進む決意をしたように思えたから、

私も嬉しくなって自然な笑顔を浮かべられたんです。


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