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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
672/4820

心を揺さぶる言葉

《サイド:御堂龍馬》


「始めよう」


審判のいない試合場で彼がルーンを構えた。


だけど、あれは何だ?


剣の先に滴るのは…血、だろうか?


彼はあの場所で何をしていたんだ?


色々と疑問を感じるけれど。


ひとまず今は迷いを振り払うことにする。


あれこれと考えていられるような状況じゃないからね。


今の僕に必要なことは、彼との試合に集中することだけだ。


ただそれだけでいい。


「きみが何を考えているのか?そしてこれから何をしようとしているのか?今は何も聞かないよ。今はただきみと戦うことだけを僕は願う」


戦う意志を告げてからルーンを発動させる。


僕の手に現れるのは『シャイニングソード』だ。


彼の持つルーンを遥かに凌ぐ巨大な大剣になる。


そんな僕のルーンを眺めた彼が微笑んでくれたような気がした。


「随分と成長したようだな」


…っ!!


彼の言葉が僕の心を揺さぶる。


動揺したとかそういうことじゃなくて、

純粋に嬉しいと感じてしまったんだ。


ずっと、ずっと聞きたいと願っていた言葉だったから。


僕の成長を認めてくれた彼の言葉が何よりも嬉しく思えたんだ。


彼と対等である為に。


ずっと求めてきた力の果てに。


彼が僕の成長を認めてくれた。


ただそれだけのことで、

僕は自分自身の力に自信を持つことが出来たように思える。


「僕も新たな力に目覚めたんだ。だからもう、以前の僕とは違うよ」


「ああ、そうだな」


僕の言葉を聞いて、彼は小さく頷いてくれた。


「認めよう。そして全力で戦うことを約束しよう」


あの日の約束を果たすために。


彼も新たな力を具現化する。


彼方かなたから此方こなたへ…。」


誰もが畏怖いふするあの存在を召喚するようだ。


「いでよ、光の天使ヴァルキリー!」


左手をかざす『彼』の頭上で神々しい輝きが生まれた。


神聖な光と神々しいほどの魔力の輝き。


その中心で彼女が姿を現す。


何度見ても慣れはしない絶対の存在。


天使という存在はその美しさゆえに恐怖すら感じてしまう。


ただ見た目だけの存在だったなら、

こんなふうには思わないだろうけどね。


だけど彼の使役する天使は、

本物と言われれば素直に信じてしまうほどの『光』に満ち溢れているんだ。


『ふわっ…』と、試合場に降り立つその姿はまさしく天使そのもの。


非の打ちどころは一切ない。


ただそこにいるだけで神と遭遇したかのような威光を感じさせる

圧倒的な存在感と純粋な光を放つ膨大な魔力。


それほどの魔力を分け与えてもなお、

彼の魔力は減少してるようには思えない。


一体、彼はどれだけの魔力を抱えているのだろうか?


かつての試合とは比べものにならないように思える。


『魔力の総量』と意味でいえば彼の魔力は桁違いに膨らんでいるからだ。


僕はこの力で彼に勝つことが出来るのだろうか?


そんな疑問を感じてしまうけれど、

まずは自分を信じて彼と向き合おうと思う。


「きみを倒す!」


「ああ、実証してみせろ」


やってみせるさ!


それが僕の役目だ!


審判も係員もいないこの試合場で。


多くの人々の注目を集めながら。


僕達は『最後の決戦』を始めることにした。


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