再戦
《サイド:御堂龍馬》
ついに彼が動き出した。
ようやくこの時が来たんだ。
ずっと…。
ずっとこの時を待っていた。
彼に敗北したあの時から、僕はこの瞬間を願い続けていたんだ。
「さあ、始めよう。僕達の戦いを」
再戦の訪れをようやく迎えることができるんだ。
空から舞い降りる天城総魔。
試合場に降り立つ彼の姿はまるで『神』のようにも思える。
「待っていたよ」
「すまない。待たせたな」
彼はまっすぐに僕と向き合ってくれた。
「これが最後の試合だ。お前が俺を越えるか、それともこの場で敗北を重ねるか。成長したお前の実力を見せてもらおう」
ああ、そうだね。
「今度は負けないさ!!」
どこで何をしていたのかは知らないけれど。
さよならなんて言わせない!
「僕が勝って、きみを引き止めてみせる!!」
決して逃がしはないと宣言する僕に、
彼は何故か淋しげな表情を見せた。
「残念だが動き出した時間が戻ることはない。俺は俺の道を行くことになる。だからお前もお前の進むべき道を進めば良い」
僕の進むべき道?
それが何なのか、自分でもわからない。
そして彼が進もうとしている道が何なのかもわからない。
彼が何を行い。
何を考えているのか?
僕はまだ知らないからね。
だけど僕にとって彼は『仲間』であり、『強敵』であり、『親友』だから…。
だから僕は彼を見放しはしない!
「僕はきみと共にいたいんだ。ただそれだけを願ってる」
「………。」
僕の言葉に彼は何も答えなかった。
だけど今はそれでも良いと思う。
すぐに応えてくれなくても良いんだ。
この試合が終わったあとに。
全ては…その時に…。




