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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
652/4820

神弓

「まだ続けるつもりなのか?」


「当然でしょ!勝つのは私なんだから!」


試合場に上がろうとしたところで問い掛けてきた義明に精一杯の笑顔で答える。


それから歩みを進める私を、義明は面白そうに眺めていたわ。


「その努力と勇気は認めよう。さすがは翔子というべきか。俺が惚れるだけの価値がある」


う~ん。


褒められてるのか自惚れてるのか微妙なところよね。


でもまあ、圧倒的な実力差は今の私と義明を見れば一目瞭然だとは思うわ。


ズタボロの私と無傷の義明。


どう考えても勝ち目なんてないわよね?


きっとみんなそう思ってる。


そしてそれは私も実感してるわ。


でも、ね。


そんな私を信じてくれてる『人』がいるの。


だから、ね。


総魔。


私、負けないわ。


絶対に勝って見せるから!!


だから見ててね。


ちゃんと私のことを見ていてね。


心の中で願いを込めてから『最後の手段』を実行してみる。


自分自身でさえも忘れそうになっていた力を解放する時が来たのよ。


「これが、これが私の本当の力よ!!!」


宣言しながら抜き取るのは『指輪』


私は封印を解除したわ。


その瞬間に『ぶわっ!!!』と周囲の空気の流れが変わって、

微かに私の体が輝いたような気がしたのよ。


一瞬で消えた光だけど、

この瞬間に力を取り戻したのは間違いないわ。


「さっきまでの私と同じと思わないほうが良いわよ?」


さっきよりも冷静になれたことで、

ちょっとは警戒してもらえたかな?


微かに義明の表情が変化したように見えたのよ。


「ここからが本番よ。力を取り戻した私の魔術は『全て』一段階強化されるわ」


「強化だと?」


ホンの少しの戸惑いを見せる義明に、

新たなルーンを見せ付けることにする。


光り輝く私の手。


私の両手に全く新しい金色の弓が現れたわ。


パルティアとは全く違う形状と輝きだけど、

この弓は完全に私の一部として自然と私の体と連動して動いてくれる。


初めて引く弦なのに、

すでにこの弓は私に馴染んでいるようにさえ思えるわね。


これはただの『弓』じゃないのよ。


見た目重視の『扇』でもないの。


この弓は私に出来る最大級の攻撃力を求めた最強のルーンだからよ。


「アドラスティア。それがこのルーンの名前よ」


「アドラスティア?」


そう。


光弓パルティアを超える神器。


神弓アドラスティア。


「これが真のアルテマよ!!!」


放つのは虹色の矢。


寸分の狂いもなくドラゴンへと突き刺さった虹色の矢は、

今だかつてないくらいの轟音と共に大爆発を起こしてドラゴンをあっさりと消し飛ばしたわ。


「な…っ!?馬鹿なっ!?」


驚き戸惑う義明に、私は静かに宣告してあげる。


「光を取り戻した私の魔術は真の融合魔術に生まれ変わったのよ。」


今まででも強力だったとは思うけれど、

それでもまだ未完成だったのよ。


光属性が足りていなかったから、

本当の意味で総魔と同格の威力を持っていなかったの。


でもね。


指輪を外したことでついにたどり着いたのよ。


総魔を超える究極の攻撃魔術を手に入れたのよ!


「あらゆる属性を取り込んだ真のアルテマは全ての存在を粉砕するわ」


義明に向けて弓を構る。


「足りない攻撃力を補った私に、義明の実力で勝てると思う?」


「くっ!なめるなっ!!!」


針を構えて、ありったけの針を飛ばしてくる。


でもね?


その攻撃さえも、今ではもうなんとも思わないのよ。


「ダイアモンド・ダスト!!!」


直進する針に向けて再び弓を引く。


『風』と『冷気』の融合に加わった『光』の力。


元々得意としていた光の属性が加わったことで、

さっきまでの威力を大幅に上回る勢いの冷気が全て針を飲み込んでいったのよ。


次々と爆発する針だけど、

私の冷気の中では小さな威力しか発揮出来ないようね。


どう考えてもさっきまでの威力は感じられないわ。


義明の攻撃力は変わらないはずだけど、

私の攻撃力は大幅に上昇したからその差が現れたのよ。


「やっぱり破壊力は私が上回ったようね」


「な…なんだと…っ!?」


驚く義明だけどそんな暇はないわよ?


針を粉砕しながらも勢いを止めずに突き進む冷気が義明を飲み込もうとしているからよ。


「だから言ったでしょ?ここからが本番だってね」


「くっ!!!フレイム・ウォール!!!!」


義明の生み出した炎の壁が私の冷気を遮ろうとしたわ。


だけどその程度の魔術じゃ無意味ね。


ものの数秒で消え去ってしまうからよ。


「そんな馬鹿なっ!!!!」


驚く義明を私の放った冷気が飲み込んでいく。


「チェックメイト。」


これで終わりよ。


凍りつく義明の体。


身動き一つ取れないまま、義明は氷の中に閉じ込められたわ。


氷像と化した義明は誰がどう見ても試合続行不可能でしょうね。


「試合終了!勝者、ジェノス魔導学園!!!」


ふう。


勝ったわ。


そう思った瞬間に体中の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまう。


「つ、疲れた~」


ちょっぴり弱音を吐きながら、

そのまま倒れ込んでしまったわ。


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