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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
624/4820

3回戦の試合順

《サイド:深海優奈》


うわぁ~。


何だか不思議な感じですね。


仲が良いような、だけどそうでもないような…よく分からない雰囲気だからです。


見た感じだけで言えば、

お互いに楽しそうに微笑んでいるように見えるんです。


なのに、二人の視線は火花を散らしているようにも思えます。


怒りとか憎しみとか、そういう怖い感じではないのですが。


お互いに一歩も譲らないという雰囲気がすごく出てるんです。


こういうのを喧嘩友達とか、そんなふうに呼ぶのでしょうか?


…よくわかりません。


ですが翔子先輩が北条先輩と喧嘩している時と同じように思えます。


お互いにお互いを認め合ってる感じでしょうか?


試合場に立つ翔子先輩の発言は挑発的なように思えますが、

自分自身に言い聞かせているようにも思えます。


無理に強がっている感じ…かもしれません。


何となくですが、

北条先輩との試合もこんな感じだった気がします。


戦えば勝てるという自信があっても、

どことなく弱気な態度が出てしまうようですね。


その辺りが何となく翔子先輩らしい気がします。


だからでしょうか?


相手の方とはどういう関係なのか良く分かりませんが、

気合十分の翔子先輩を眺めていた沙織先輩と御堂先輩は苦笑いを浮かべていました。


「ふふっ。相変わらずね」


「ああ、そうだね」


先輩達にとっては見慣れた状況のようですね。


相変わらずということは、

以前からこんな感じだったのでしょうか?


今回初めて大会に参加した私はこれまでのことを何も知りません。


なので一人で首を傾げていると、

私の疑問に気づいてくれた沙織先輩が翔子先輩のことを教えてくれました。


「あの二人はね。今日で4回目の試合になるのよ。過去にも3回試合をしてるんだけど、試合結果は全て引き分けなの。」


え?


「全部、引き分けなんですか?」


「ええ、そうよ。あの二人にしてみれば最も相性が良くて、最も相性の悪い相手でしょうね」


最も良くて、最も悪い?


どういう意味でしょうか?


余計に分からなくなってしまって悩む私に、

今度は北条先輩が教えてくれるようです。


「今の翔子は力を封印してるが、本来なら二人とも光属性を持ってるからな。同じ実力同士で決着がつかねえんだ」


ああ、なるほど…。


今回は素直に納得できました。


全く同じ能力同士だからこそつかない決着。


そういうこともあるんですね。


納得して頷く私を見ていた先輩達は何故か微笑んでいます。


何かおかしな発言をしたでしょうか?


そんなつもりはないのですが、

何故かものすごく見守られているという感じがします。


何だか優しすぎて恥ずかしいですね。


自分が何も知らずにここにいるということを改めて実感してしまうからです。


「まあ、翔子はいいとして、次は誰にしようか?」


ひとまず私の疑問が解決したことで、

御堂先輩が質問を再開していました。


「なら俺が行く。翔子にばかり良い恰好をさせられねえからな」


今度は北条先輩が名乗り出ています。


2試合目には北条先輩が出るようですね。


「ははっ。わかったよ。それじゃあ、真哉に任せるね」


御堂先輩は名簿に北条先輩の名前を書き記しました。


「次はどうする?」


再び問い掛けてくれる御堂先輩ですが、

今回は名乗り出る人がいませんでした。


特に希望はないようですね。


もちろん私としては何番目でも構いません。


…と言うよりも。


出番がないほうが気が楽だと思ってしまいます。


ですがさすがにそれは言えませんので、

みなさんの判断にお任せするつもりでいました。


「うーん。誰も希望がないなら、とりあえず僕が出ようかな?」


御堂先輩が3番目のようですね。


名簿に自分の名前を書いていました。


「あと二人だけど、どうする?」


問い続ける御堂先輩ですが、やっぱり誰も何も言いません。


沙織先輩も私と同じように順番を気にしていないようです。


私としては総魔さんがどの段階で参加するのかが気になるのですが…。


「その順番で行けば試合はすぐに終わるだろう。後半まで出番が来ないのなら沙織と優奈の名前でも書いておけば良い」


誰も名乗り出ないことで総魔さんが残りの試合順を決めてしまいました。


御堂先輩までで終わるという判断なのでしょうか?


だとすれば誰の名前を名簿に書いても関係ないとは思いますが、

今回も総魔さんは参加しないつもりのようです。


またどこかに行ってしまうのでしょうか?


少し疑問を感じてしまいましたが、

どうやらそうでもないようですね。


少し離れた場所に移動した総魔さんは、

空いている席についてそのまま試合の開始を待つようでした。


「うーん。今回も彼は不参加か…。出来ればもう少し参加して欲しい気がするんだけど…。でもまあ、順番が回ってこなければ結果は同じだからいいのかな?最悪、延長戦には出られるし、とりあえず残りの試合に二人の名前を書いておくね」


総魔さんが補欠にまわったことで、

御堂先輩は4番目に沙織先輩の名前を書いてから5番目に私の名前を書きました。


…って、私が最後ですか?


一気に不安を感じてしまいます。


ですが。


総魔さんの予想通りなら、私まで出番が回って来ることはないと思います。


…そのはずです。


出番がないほうが良いとは言えませんが、

準決勝進出を決める大事な一戦なので出番が来る前に終わって欲しいとは思ってしまいます。


もちろんそういう不安を乗り越えることが私にとって必要なことだと分かってはいるのですが、

分かっていてもこの性格はなかなか直りそうにありません。


まだまだ時間がかかりそうですね。


もっと自分に自信を持てるようになりたいです。


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