宿敵
《サイド:美袋翔子》
よしよし。
やっと対戦相手のカリーナ女学園が試合場に集まってきたわね~。
あまりにもギリギリすぎて、
このまま来ないんじゃないかな?って思っちゃったわ。
まあ、それはないとも思ってたけどね。
とりあえずは試合順を決めてから試合を進めていくわけだけど。
そのまえに個人的に解決しておきたいことがあるのよね~。
「試合の順番はどうしようか?」
龍馬がみんなに尋ねるから、真っ先に私から名乗り出ることにしたわ。
「初戦は私が行かせてもらうわよ」
独断で悪いけどね。
今回だけは試合を譲る気はないわ。
相手がカリーナだからこそ、
どうしてもやりたいことがあるのよ。
そのために私は龍馬の持つ名簿を奪い取って、強引に自分の名前を書いたわ。
「別に良いでしょ?」
まあ、ダメって言われても引き下がるつもりはないんだけどね。
それでも一応確認してみたわ。
何を言われても聞く気はないけど、
ひとまず誰も文句はないみたいね。
「それじゃあ、一足先に行ってくるわね~」
強引に許可を得てから足早に試合場に向かってく。
残りの試合順なんてどうでもいいのよ。
初戦に出られることが確定すればそれでいいの。
あとは試合場に立つだけで私の目的は達成できるはずなのよ。
実際にどうなるのかは相手次第だけどね。
それでも上手くいくと信じて試合場に急いでみる。
向こうが対戦順を決める前に試合場に上がる必要があるからよ。
さあ、決着をつけるわよ!!
気合充分!
準備万端!
今度こそ勝つために!
やる気まんまんで試合場に立ってみる。
そして相手側の学園に視線を向けてみたわ。
対戦相手の陣営にいるのはもちろんカリーナ女学園。
その生徒の中に。
私にとって乗り越えなければいけない相手。
宿敵、文塚乃絵瑠がいるのよ。
今回こそ勝ってみせるわ!
乃絵瑠と戦って決着を付けることが、3回戦の私の目的なのよ。
「さあ、来なさい乃絵瑠!私はここで待ってるわよ!」
試合場から呼び掛けてみると、
乃絵瑠は私の挑戦に気付いてくれたみたいね。
楽しそうな笑顔で微笑んでくれたのよ。
「ふふっ。やる気ね、翔子。分かったわ、私も行くわ」
仲間に別れを告げてから、
乃絵瑠も試合場に歩みを進めてく。
これでお膳立てはできたわね。
今回で4回目になる乃絵瑠との試合が実現するのよ。
「今日こそ私達の優劣を決めるわよ!」
決着を付ける為に向かい合って宣言する私に乃絵瑠は笑顔を見せてくれる。
「もちろん勝つのは私よ。翔子には悪いけれど、今日こそ私と翔子の実力差を証明して見せるわ!」
気合いを込める乃絵瑠も強気だったわ。
でも、ね?
実力差ならもうすでにはっきりしてるのよ。
以前の私と互角だった乃絵瑠が今の私と互角に戦えるはずがないの。
乃絵瑠だってそれなりに成長してるだろうけど、
それ以上に私と乃絵瑠の実力差はもう埋められないほど隔絶してるはずなのよ。
「前回までの私とは違うってことをたっぷりと教えてあげるわ」
自信を込めて宣言する。
こうして私達は試合開始を待ちながら、互いに勝利を宣言しあったのよ。




