羨ましい
《サイド:美袋翔子》
はぁ…。
ちょっぴり羨ましいわね。
ん?
何がって?
もちろん龍馬と総魔の関係よ。
二人は確実に意識してたと思うわ。
本当の意味での『最後の決戦』を、ね。
魔術大会の優勝なんて、その為の通過点にすぎないのよ。
そんな雰囲気が二人の間にはあったわ。
これはもうあれよね?
男の友情って感じよね。
そんな龍馬が私はちょっぴり…と言うか、かなり羨ましかったわ。
私と総魔では成りえない関係だからよ。
男同士だから共有できる感情だと思うの。
『宿敵』であり『好敵手』
共に肩を並べて共に全力で戦いあえるようなそんな関係。
他の誰よりも総魔に実力を認めてもらって、
ライバルと認めてもらえる龍馬が羨ましかったのよ。
総魔にとってただ一人だけ、
『対等』に見てもらえる龍馬が羨ましいって思うの。
出来ることなら私もそんなふうに思ってもらいたいな~って思うんだけど…。
今の総魔の試合を見た限りではどう考えても互角の試合を出来そうな気がしないわ。
追いつくどころか、
引き離されているような気がするからよ。
どれだけ成長しても、
どれだけ強くなっても、
総魔は更にその上を行ってしまうのよ。
その事実を実感したわ。
まだまだ総魔を越えられないみたい。
…って言うか。
それ以前に総魔に追い付くことさえ出来ていないと思うわ。
その差は日を追う毎に広がっていくようなそんな感じさえするのよ。
うぅ~ん。
どこまで頑張れば良いのかな?
黙々と高みを目指し続ける総魔に追いつける日なんて、本当に来るのかな?




