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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
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予想通りの反応

そして1回戦が終わってから少しだけ時が過ぎた頃。


すでに試合場で後半組の試合が行われている最中に、

彼を捜しに行った翔子と優奈さんが彼と共に戻ってきた。


「ただいま~!」


元気一杯の笑顔を浮かべているのは翔子だ。


だけど翔子の後ろを歩く深海さんの表情はどことなく落ち込んでいるように見える。


まるで光と影のような正反対の表情なんだ。


何かあったんだろうか?


彼に視線を向けてみても、彼の表情からは何も読み取れない。


いつもと変わらない雰囲気の彼からは、

どんな問い掛けにも答えが返って来る気がしなかった。


こうなると、そっとしておくべきかな?


あえて気にしない方針にしようと判断してから、

まずは翔子に話し掛けてみることにしたんだ。


「お帰り、翔子。遅かったね」


「これがなかなか見つからなくてね~。結構捜し回ったのよ」


笑顔で答えた翔子は、迷わず沙織に歩み寄っていく。


「ただいま、沙織。試合はもう終わってるみたいだけど、結局、沙織は試合に出られたの?」


「いえ、私は出てないわ。龍馬が試合に勝って、そこで終わったわ」


「な~んだ。やっぱりそうなのね~」


呟きながら僕に振り返った翔子は満面の笑みだった。


「私の予想通りだったじゃない」


確かに結果はそうだったかもしれないね。


誇らしく胸を張る翔子の予想通りだったと思うよ。


だけど決して楽な試合だったわけじゃないとも思う。


結果だけを見れば圧勝でも、

僕は僕の力を知ることに精一杯で、

まともな試合内容だったとは思っていないからね。


まだまだ足りないんだ。


彼に追いつく為にはまだまだ足りない。


そんなふうに思いながら、次に彼に振り返ってみた。


「それで、用事はもう済んだのかい?」


「ああ、ひとまず目的は果たした。次の試合からは俺も参加しよう」


どこで何をしていたのか知らないけれど、彼は参加の意思を示してくれたんだ。


「それじゃあ、次はお願いするよ」


「ああ」


「うん。よろしく」


彼の返事を聞いてから、時計に視線を向けてみる。


時刻は11時20分になったばかりだね。


まだ少し早いけれど、ここにいても仕方がないと思う。


それにそろそろ昼食の時間だからね。


控え室に移動しておいたほうがゆっくり出来るかもしれない。


「もうすぐ昼食の時間だから、控室に向かおうか?」


みんなに問い掛けてみると、真っ先に真哉が反応してくれた。


「よっしゃ~!!メシなら行くぜ!」


予想通りの反応だね。


真哉の食欲は朝食を食べたこと自体を忘れているかのような感じだ。


もしかすると、すでに空腹感で一杯なのかもしれないね。


「たまには食べないほうが良いんじゃない?」


翔子が食べ過ぎを指摘しているけれど、

真哉は気にせずに控室に向かって歩きだしてしまう。


「たまに、どころか、最近はまともに飯を食う機会の方が少なかったからな。食えるときに食っとかないともったいねえだろ?だから早く行こうぜ!」


彼との試合や僕や翔子との試合によって何度も戦闘不能状態に陥っていた真哉は

確かに食事の機会が少なかったかもしれない。


ここ数日間を振り返ってみれば起きて行動している時間よりも

医務室で眠っていた時間の方が長いかも知れないからね。


そのせいで普段以上に食欲が暴走しているのだとすれば

それはもう仕方がないことだと僕も思うよ。


だからというわけじゃないけれど。


先頭を進んで僕達に呼び掛ける真哉に苦笑いを浮かべながら、

僕達は真哉を追って控室へ移動することになったんだ。


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