泣いてる?
《サイド:美袋翔子》
ん?
あれ?
って!?
「見つけたぁっ!!」
大声で叫びながら駆け寄ってみると、総魔が視線を向けてくれたわ。
ただそれだけのことでも気力がみなぎってきて全力で駆け寄ることができたんだけど…。
何故か総魔と向かい合っている優奈ちゃんが泣いてるように見えたのよ。
う~ん?
どうかしたのかな?
私が二人に駆け寄る前に、
優奈ちゃんは目を擦って無理矢理笑顔を浮かべていたわ。
泣いてたことを隠してる感じ?
そんなふうに思えたのよ。
これって完全に何かがあったわよね?
疑問には思うけれど、
なんとなく優奈ちゃんには聞きにくい雰囲気を感じてしまったわ。
だから総魔に尋ねてみることにしたの。
「どうかしたの?」
理由を聞いてみたんだけどね。
「………。」
総魔は何も答えてくれなかったわ。
ん~?
なんでかな?
ちょっぴり気まずい雰囲気なのよね。
二人に何かあったのかな?
…っていうか。
そもそも総魔はどこに行ってたのよ?
色々と思うことがあるけれど、どれも聞きにくい状況なのよね~。
とりあえず場所を変えるべきかな?
時間的に考えても龍馬の試合はとっくに終わってるだろうし、
一度みんなの所へ戻ったほうがいいかもしれないわよね。
そう考えて、二人に話し掛けることにしたのよ。
「とりあえず総魔も見つかったことだし、みんなの所に戻らない?」
「ああ」
「はい」
私の提案に頷いてくれる総魔と優奈ちゃんはわりと素直だったわ。
何があったのか知らないし、ものすごく気になるけれど。
ひとまず私達は試合場に戻ることにしたのよ。




