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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
551/4820

6人中5人

《サイド:天城総魔》


開会式が終わり、

第1回戦の試合場に到着したところで米倉美由紀が歩み寄ってきた。


「さあ、みんな!ここからが本番よ!学園で日々努力してきた成果を思う存分発揮していいからね!!」


「はい!最善を尽くします」


「まあ、楽勝だな」


激励の言葉を受けたことで御堂が最初に応えていたが、

隣に並ぶ北条は普段通りの気楽な態度を見せている。


あまり人のことを言える立場ではないが、

緊張感というものが感じられないな。


だからだろうか?


「はぁ…。北条君」


余裕を見せる北条の姿を見ていた美由紀が深々とため息を吐いている。


「一応、言っておくけど。あなたは前回の大会で負けてるんだから、他の誰よりも油断しないようにね?」


「はあ?前がどうかなんてどうでもいいだろ。やるからには勝つ!それ以外の選択肢はねぇぜっ!」


話し合う気もないようだな。


美由紀の忠告を聞き入れようとはせずに、

北条は気合いを入れながら試合場へと向かっていく。


どうやらそのまま試合に出るつもりのようだ。


そんな北条の後ろ姿を眺める美由紀は再びため息を吐いていた。


「ふぅ。困った子ね」


何を言っても無駄だと感じたのだろう。


北条から視線を逸らした美由紀は御堂との会話を再開していた。


「まあ、北条君は仕方ないとして、試合順はどうするつもりなの?」


「えーっと…。」


美由紀の質問を受けた御堂が俺に振り返って問いかけてくる。


「きみはどうする?初戦は真哉が行くみたいだけど、その次に行くかい?」


試合順か。


試合は5戦目まであるとは言え、

3勝で勝ち抜けということを考えると、

最後まで順番が回ってくるかどうかは分からないな。


そして延長戦が行われない限りは基本的に一人だけ不参加となる。


現状では優奈が補欠扱いだが、

優奈が試合に出てはいけないという決まりがあるわけでもない。


必要に応じて深海優奈も参戦させるべきだろう。


参加人数は6人だが試合に出れるのは5人のみ。


つまり、試合に参加するか、しないか?


そして参加するなら何番目なのか?


俺の自由に選んでいいようだ。


だとしたら、答えはすでに決まっている。


御堂の質問に答える前に、まずは美由紀に確認してみることにした。


「全ての試合に出る必要はないな?」


「えっ?あ~、う~ん。まあ、一応、無理に出なさいとは言わないけれど。確実な一勝を逃すのはもったいないから出来れば勝ち星を稼ぐために出て欲しいわね。まあ、それでもどうしてもって言うのなら補欠でも文句は言わないわ」


参加して欲しいが、強制はできないと考えているようだ。


だとすれば今すぐに参加する必要性はないように思える。


負けない限り、今後も試合は続いていくからな。


今後も出番はあるはずだ。


それに御堂と翔子がいればそうそう簡単には負けないだろう。


優奈も状況次第では戦力になる。


あとは沙織と北条の努力次第で勝ち抜くことは出来るはずだ。


対戦相手の実力は不明だが、こちらの戦力は十分に思える。


だとすれば。


今回は不参加にして、

次の試合から参加しても遅くはないだろう。


「そうだな…」


言葉に迷う美由紀から視線を逸らしたあとで、

御堂の質問に答えることにした。


「悪いが今回は参加しない」


「…そうか。まあ、きみが決めたのなら仕方がないね」


「うぅぅぅ~。」


俺の発言によって残念そうな表情を見せる御堂と美由紀だが、

それでも無理に試合を強制するつもりはないらしい。


今回は俺の意見を聞きいれてくれるようだ。


だが…。


不参加を表明したことで、今度は翔子が話し掛けてきた。


「総魔は試合に出ないの?」


「ああ。俺がいなくても問題ないだろう?」


「え~?なくはないと思うけど~?」


疑問はあるようだが、

はっきりと否定しないあたりに翔子の余裕が感じられる。


やはり御堂と翔子がいれば心配ないだろう。


それに、期待という意味では3人目もいる。


「優奈」


「は、はい」


「昨日教えたことを実践出来るな?」


「あ、はい。たぶん、なんとか…」


「試合は優奈に任せる。俺の代わりに勝ち上がれ」


「は、はいっ。が、頑張ります」


「ああ、頼む」


俺が不在の間を優奈に任せることにして、

まずは美由紀に歩み寄ることにする。


「手間をかけて悪いが、少し聞きたいことがある」


「ん?どうしたの?」


「ここでは話が進まないからな。場所を変えよう」


御堂達に聞かれて困る話ではないが、

この場にいては解決できない問題だとは思っている。


「ついてきてくれ」


ひとまず美由紀と二人で試合場から離れることにした。


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