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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
541/4820

もう朝

………。


…………。


……………。


………………。


って!?


どういうことなのっ!?


もう朝なのよ!?


時計は午前6時を過ぎてるのにっ!


どうして帰ってこないのよ!?


一晩中、待ってたのに!


起きてずっと待ってたのに!


それなのに結局、

総魔と優奈ちゃんは帰ってこなかったわ。


そのうち帰ってくるかな~?なんて、思いながら一晩中、応接間で待ってたのよ。


なのに!


それなのに~~~~っ!!


朝になっても帰ってこないなんて…。


どういうことなの!?


通路の先に見える部屋の入口を睨みつけながら、

総魔の帰りを待ち続けて数時間。


気がつけばもう朝。


なのに…!!!


帰ってくる気配が全くないのよ!


開くことのない扉をずっと睨み続けてる。


その努力に何の意味もないけれど、ただひたすらに待ち続けてた。


その結果。


期待してる場所とは関係なく、

不意に横から扉の開く音が聞こえてきたわ。


うぅ~?


音のした方へ視線を向けてみると、部屋を出てくる龍馬の姿が見えたわ。


「あれ?おはよう、翔子。今日は随分と早起きだね。調子はどうだい?」


朝から笑顔の龍馬だけど、私の心境はとても笑える状況じゃなかったわ。


総魔がいないのよ?


その理由が優奈ちゃんと二人きりでどこかに行っちゃってるってことなのよ?


笑うどころか、落ち着くことさえできないわ。


だけど龍馬に不満を言っても仕方がないし、

とりあえず今は起きたばかりってことにしておくのが無難でしょうね。


「おはよ~、龍馬。調子は、まあ、眠いって感じね」


本気の寝不足のせいであくびを噛み締めながら挨拶を返してみると、

龍馬は小さく笑っていたわ。


「ははっ。眠そうだね。あまり寝れなかったのかい?」


…というか、寝てないのよ。


一睡も、というほどじゃないけどね。


ところどころ、数分間の意識がないっていう感じよ。


でもまあ、質問されたってことは、

私がずっと起きてたことを龍馬は知らないみたい。


一晩中ここにいたことに気付いてないのよ。


もちろん、気付いてほしいとは思わないけどね。


多少はソファーでうとうととしていた覚えがあるから、

全く寝てないっていうわけじゃないわ。


それでも寝不足なのは確かよ。


なんだかもう、ただただ眠いって思う。


そんなことを考え出すとそれだけで一杯になりそうな気がしたから、

頭を起こす為に龍馬に話し掛けてみることにしたわ。


「私のことはどうでもいいんだけど、そういう龍馬はどうなの?昨日は聞き忘れたけど、散歩に行って誰かと出会えたの?」


問い掛けてみたけれど、龍馬は首を左右に振ってた。


「いや。残念だけど誰にも出会えなかったよ」


「ふ~ん。そうなんだ?」


大した話に発展することもなく終わってしまったわね。


こうなると全然、頭が起きる気がしないわ。


むしろ、会話が途切れたことで、より眠たくなってくるわね。


はふぅ。


思いっきりため息を吐いてみると…


また別の扉が開かれる音が聞こえたわ。


だけどもう、視線を向けなくても誰が起きたのかは分かるわね。


だって、そちら側の部屋は他に誰もいないからよ。


ちゃんと部屋に入ったのは一人だけなの。


結局、私の部屋と優奈ちゃんの部屋は使われてないから。


使われているのは沙織の部屋だけだから確かめなくてもすぐにわかるわ。


って、考えてる間に部屋から出てきた沙織が私達に歩み寄ってきたわ。


「あら?おはよう翔子。それに、龍馬もおはよう」


朝から優しい微笑みを見せてくれる沙織。


その笑顔を見るだけで、心が癒されていく感じがするわ。


だけど、眠気は消えないのよ。


「おはよ~」


私は挨拶をするだけで精一杯よ。


だけど龍馬は元気みたい。


「おはよう沙織。ゆっくり休めたかい?」


「ええ。十分休めたと思うわ」


沙織は龍馬の質問に答えてから、

あくびを続ける私に歩み寄ってきて耳元で囁いてきた。


「もしかして寝てないの?」


「…うん。あんまり」


「あらあら」


素直に頷いてみると、沙織は小さくため息を吐いたわ。


「今からでも少し寝ておいた方がいいんじゃない?」


「う~ん。たぶん大丈夫。とりあえずお風呂に入って、目を覚まして来るわ」


さすがに今から寝ると寝過ごしちゃいそうだから、

目覚まし代わりにお風呂に入るために個室に向かうことにしたわ。


せめて総魔に会う前に気合いを入れて準備を!


なんてね。


そんなふうに考えてお風呂場に向かって歩きだしてみる。


今からお風呂に入って、服を着替えて、

準備を整え終わる頃には朝食の時間になるのかな?


そんなことも考えながら、自室の扉を開いたわ。


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