さすがにどうかと思う
《サイド:美袋翔子》
「試合終了!勝者、常盤沙織!」
審判員の合図と共に、試合場を包み込む結界が解除されたわ。
「お疲れ~♪」
笑顔で迎える私に、沙織は微笑みながら歩み寄ってくれる。
「これでいいのかしら?」
沙織は首を傾げてるけれど、私は全力で頷いたわ。
「いいんじゃない?一応、理事長命令なんだしね」
「ええ、そうね」
沙織は新たに手に入れた生徒番号に視線を向けてる。
生徒番号、6番よ。
本当ならもう一つ上の5位まで上がりたいところなんだけど、
優奈ちゃんに負けた由香里はいまだに医務室にいるみたい。
魔力を奪われた影響でまだ目覚めていないのよ。
そのせいで試合ができなかったの。
まあ、魔力を供給して起こすっていう手段もあることはあるんだけど…。
番号欲しさに無理やり起こして、
もう一度医務室送りにするっていうのも…ね。
さすがにどうかと思うわ。
ということで、
沙織は試合が出来ずに6位までしか上がれなかったっていう状況なのよ。
「とりあえずは、これでいいんじゃない?」
「そうね」
沙織が頷くのと同時に鐘の音が学園中に鳴り響いたわ。
時計に視線を向ければ、もう6時みたい。
午後から沙織と二人で検定会場に来てから数時間が経過してるのよ。
今日もそろそろ帰る時間が迫っているわね。
「丁度区切りも良いし、成美ちゃんに会いに行く?」
「ええ、そうね。そろそろ行きましょうか」
短い打ち合わせを終えた私と沙織は今日も沙織の家に向かうことにしたわ。




