魔術師ギルド
《サイド:御堂龍馬》
時刻は午前8時45分だね。
学園を離れた僕と真哉は、
ジェノスの町の一画にある魔術師ギルドにたどり着いてしまったんだ。
「ここは…」
呟く僕に、真哉は平然と笑って答えてしまう。
「色々と鍛えるには丁度良いだろ?」
「いや…」
真哉の言葉に呆れてしまった。
昨日一日どこに姿を消したのかと思えば、
真哉は魔術師ギルドに来ていたようだ。
ということは…。
もしかして理事長は知ってたのかな?
さっき真哉の態度を見て笑っていたしね…。
だとすると、理事長は真哉がここに来ていることを知っていたのかもしれない。
「僕に手伝ってほしいことって、ここなのか?」
「ああ、そうだ。手っ取り早く経験を詰むにはここが最適だからな」
最適、って…。
はあ…。
真哉の言葉を聞いてため息を吐いてしまった。
真哉の言いたいことは分からなくもないけどね。
ここでの出来事は命懸けの真剣勝負なんだ。
学園での試合とは違って、負ければ命を失いかねない事態もあり得る。
「まあ、色々と言いたいことはあるだろうが、俺も考えた末に出した答えだからな。説教は勘弁してくれよ」
「いや、そんなつもりはないけど…」
「なら行こうぜ。時間が勿体ねえからな」
急ぎ足でギルドに入る真哉は受付に向かってしまった。
どうやら本当に『仕事の依頼』を受けているようだ。
真哉…。
きみは何を求めているんだ?
疑問に感じてしまうけれど。
真哉はそんな僕の疑問に気付くことなく、手続きを進めてしまう。
「よしっ!行くぜ、龍馬!」
何かの書類を握り締めてギルドを出ようとする真哉と共に、
僕は魔術師ギルドを離れることになったんだ。




