礼儀
《サイド:御堂龍馬》
…ん?
あれ?
あそこにいるのは真哉と沙織だよね?
彼と一緒に理事長室に向かってみると、
すでに真哉と沙織が理事長室の前にいるのが見えた。
何か話をしているというよりは、挨拶をしてる感じかな?
…と言うことは。
二人も丁度、来たところなんじゃないかな。
「おはよう真哉、それに沙織も」
「おう!」
「おはようございます」
挨拶を返してくれる二人だけど、
沙織は彼にも声をかけていた。
「おはよう、天城君」
「ああ」
沙織の挨拶に小さく返事を返しただけで、
彼は迷うことなく理事長室の扉に手をかけてしまう。
そして『ガチャッ…』と、開く扉。
挨拶もなく室内に踏み込む彼に続いて、
真哉も遠慮なく中へと入って行ってしまったんだ。
そんな二人の様子を見て、沙織は動きを止めていた。
「う~ん…。」
………。
まあ、ね。
唸りたくなる沙織の気持ちは僕にも理解できるよ。
もう少し、礼儀っていうものがあるんじゃないかな?
まあ、一方的に呼び出されたわけだから
遠慮する必要はないのかもしれないけど…。
僕にしても沙織にしても真似できそうにない行動だとは思うよ。
そのせいかな?
「おはようございます」
沙織は小さくため息を吐いてから、
礼儀正しく挨拶をして室内に進んでいったんだ。




