楽しみ
《サイド:深海優奈》
もう夜です。
あっという間に8時ですね。
夕食を終えた私と悠理ちゃんは、
今日も寮に向かって歩いている途中です。
「う~ん!今日も一日が終わった~って感じよね~」
「うん、そうだね」
軽く背伸びをしながら呟く悠理ちゃんですが、
あくびをする姿さえもとても可愛らしいと思います。
「もうすぐ、寮に着くよ」
私の視線の先にはすでに女子寮が見えています。
ここからだと5分もかからずに到着出来る距離ですね。
「今日も泊まりに来る?」
誘ってくれる悠理ちゃんの気持ちは嬉しいのですが、
さすがに毎日は申し訳ない気がしてしまいます。
ですが悠理ちゃんと一緒に居たい気持ちはずっとずっとあるんです。
だから今日は私から悠理ちゃんに尋ねることにしました。
「ねえ、悠理ちゃん。今日は私の部屋に来ない?」
「ん?優奈の部屋?」
「うん」
「ん~…。」
悠理ちゃんは、少しだけ考えてから答えてくれました。
「私は良いんだけど、迷惑じゃない?」
「全然!迷惑じゃないよ!来てくれたら、すっごく嬉しいよ♪」
「ホントに?」
「うん!」
精一杯頷く私を見て、
悠理ちゃんは笑顔を見せてくれました。
「それじゃあ、今日は優奈の部屋にお邪魔しようかな」
「うん♪」
「とりあえず荷物を取ってくるわね~」
「私も手伝うよ?」
「いいわよ。そんなに大袈裟なことじゃないから大丈夫。ちょっとだけここで待っててね」
駆け足で寮に向かう悠理ちゃんを見送ってから、
悠理ちゃんが戻って来るのを楽しみに待つことにしました。
今日は私の部屋で悠理ちゃんと一緒なんです。
そう考えるだけで、私の心は幸せで一杯でした。




