目標は完食
「…翔子。」
「ん?」
名前を呼ばれて振り返る翔子先輩に、
沙織先輩は笑顔を向けていました。
「ありがとう」
「あ、あははは…」
沙織先輩にお礼を言われたことで、
翔子先輩は照れ臭そうに笑っています。
ですが、そんな笑顔もとても素敵だと思いました。
打算や駆け引きなんかじゃなくて、
純粋に私達のことを考えて用意してくれた気持ちが伝わってくるからです。
やっぱり、翔子先輩は素敵な人だと思います。
「ま、まあ、気にしないで。それより、私達も食べましょ」
「ええ、そうね」
翔子先輩はいつも食べている菓子パンを、
沙織先輩はサンドイッチに手を伸ばしました。
一人一個ずつ選びましたが、まだまだ16個もあります。
食べ切れるでしょうか?
単純に計算しても一人5個です。
普段なら完食する自信はありませんが、
せっかく用意して頂いたものを残すわけにはいきません。
決して残らないように全て食べてしまいたいと思います。
そのために。
翔子先輩に感謝しながら気合いを入れることにしました。
絶対に完食します!
そんなふうに心の中で気合を入れる私の隣で、
悠理ちゃんも同じことを考えているようですね。
次にどれを選ぶかを考えるかのように視線を泳がせながら、
手にしたパンを美味しそうに食べています。
「次はどれにしようかな~」
楽しそうにパンを選ぶ悠理ちゃんにも微笑みを向ける翔子先輩に感謝しつつ。
私達はたわいもない会話を続けながら、
のんびりとした時間を過ごしました。




