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THE WORLD  作者: SEASONS
エピローグ
4817/4820

Next World

《サイド:天城総魔》

時は1年前に遡り、

薫と美春の二人が俺と優奈に合流を果たした5月某日。



反乱軍の砦の地下で調査を続けていた俺に薫が話しかけてきた。



「ふぅ~。やっと追い付いたけど、わざわざここを集合場所に指定した理由って何なの?」



…ここに戻ってきた理由か。



「それはまだ調査が不十分だったからだ。」



どうしてここに集まる必要があったのか?


そもそもこの場所で何をしようとしていたのか?



その理由を答えることにした。



「今の俺はどの程度まで龍穴に干渉できるのか?そして龍穴の力をどの程度まで引き出せるのか?その辺りの調査を行うためにここに戻ってきた。」



現時点で共和国に龍穴があるかどうかは不明だ。


そしてアストリア王国は国全体が消滅している。


さらにはミッドガルムの兵器の地も御堂が破壊したために。


龍穴の調査に関してはここへ戻る以外の選択肢がなかった。



「現時点で龍穴の位置がはっきりしているのはここだけだからな。」



調査を続ければ他にも見つかるかもしれないが、

それほど共和国に長居していられる立場ではないからな。



「最短の策としてここを選んだだけだ。」



場所はどこでもよかったが、

現時点ではここ以外の選択肢がないというだけの理由で集合場所をここに指定していた。



そして薫と美春が到着するまでにおおよその調査は終了している。


どの程度まで龍穴に干渉できるのかはすでに確認済みだからな。


すでにここで調べるべきことは何もない。



「おそらく龍穴は大陸南部だけで見てもまだ複数存在するだろう。そしておそらく大陸中部や北部においても存在するはずだ。」



ここと同じ場所が大陸各地に存在する可能性は非常に高く、

すでに各国が龍穴探しを始めていてもおかしくはないと思っている。



…五十鈴菜々子が開発した兵器の技術はすでに複数の国に流れているはずだからな。



それらを確認して兵器の開発を妨害するためには龍脈の流れを探るのがもっとも効率が良い。



「優奈の調査と平行して幾つかの候補地をすでに調べあげている。」


「…なるほどね~。それで?兄貴はこれからどうするの?」


「まずは兵器の開発を妨害する。そして妨害工作と平行して竜導寺清隆の捜索を行うつもりだ。」



竜導寺清隆に関しては秘宝の影響によって優奈でさえ調査できないのが実情なのだが、

兵器の開発を妨害しながら各国で情報を集めれば痕跡くらいは掴めるだろう。



「大陸中部で暗躍する闇の一党に関しても調査する必要があるからな。これからは今まで以上に危険な旅になるはずだ。」



もはや共和国という援軍は存在せず。


限りある戦力だけで未開の地域を突き進まなければならないからな。



「やるべきことは数多くある。」



だが俺達にできることには限りがあるのも事実だ。


だからこそ最も危険度の高い兵器の破壊を最優先として行動するつもりでいた。



「まずは兵器の破壊を優先する。そして各国の魔術師狩りを妨害しつつ竜導寺清隆の痕跡を追う。」



竜導寺清隆の暗殺も重要だが、

共和国を守るという目的を忘れるわけにはいかないからな。



各国との戦いの中で闇の一党とも対立し、

多くの軍と敵対することになるとしても戦場を突き進む以外に共和国を守る方法はないと考えている。



「ひとつでも多くの希望を守り抜くために…今は戦い続けるしかない。」


「…まあ、そうね。」



大切な仲間や想い出を守るために旅立ちを宣言すると薫はしっかりと受け止めてくれた。



「私達だけで出来ることなんて限られてるわよね。」



…ああ、そうだ。



俺の足を引っ張るとかそんなことを考える前に、

自分に出来ることをやってみようと考えたようだな。



「自分達に出来ることを精一杯やっていくしかないのよね。」



…ああ。



俺も全てを救えるわけじゃない。


薫も全てを守れるわけじゃない。



「まずは行動!そして結果!よね。」



…ああ、それでいい。



目的を持ったことで心の中の迷いが少し薄れたようだな。



そもそも動き出さなければ何も始まらない。


そして動き出さなければどんな未来も掴みとれない。



…どんな結果も行動の先にあるものだ。



「とりあえず、どこまでも兄貴に着いていくわよ~。」


「私も行くわ。天城君だけに辛い役目を背負わせられないしね。」



俺と共に旅に出ると宣言した薫に続いて美春も共に行動することを宣言してくれた。



そして。



「私も…どこまでもお供します。総魔さん。」



優奈も揺るぎない忠誠を誓ってくれている。



「私達が総魔さんをお守りします。」



たった3人の仲間。


それでも共和国で最高位の魔術師である3人が協力を約束してくれているのだ。



…それだけで十分だ。



「ありがとう、感謝する。」



しっかりと感謝の想いを伝えてから歩き出す。



「行くぞ!」


「うん!」


「ええ。」


「はいっ。」



新たなる戦いに挑むために。


俺達は大陸中部に向かって旅立つことにした。






       『第一章・共和国編』




           ~完~




生存者(83)《栗原薫くりはらかおる



総魔と共に旅立った後に大陸中部の戦場を渡り歩く。



いつ終わるかもわからないまま。


どこまで理想を貫けるかもわからないまま。


ただただ未来を信じて激動の日々を生き抜いていく。




生存者(84)《鈴置美春すずおきみはる



総魔と共に旅立った後も救済と殺戮の板挟みに悩みながら終わることのない戦場をただひたすら進み続けた。


いつの日にか、

終わりが来ることを信じて…。


どこまでも続くいばらの道と懸命に向き合った。




生存者(85)《深海優奈ふかみゆうな



総魔と共に旅立った後も膨大な魔力を駆使して支援に徹し続ける。


いつの日にか想いが報われる日が来ると信じて…。


誰よりも一途に総魔を想いながら、

良き理解者としてどこまでも続く闇を歩み続けた。




生存者(86)《天城総魔あまぎそうま



終わりの見えない戦いに完全なる終止符を打つために、

大陸中部へ渡った後も各国の敵対勢力と戦闘を繰り返しながら共和国のために戦い続けた。



そうしてどこまでも続く闇の世界へと…。


自らを犠牲にして進み続ける。





『さあ、始めよう。この世界を変えるための新たな戦いを…。』



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