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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
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それが私の

「始めっ!!!」


うぅ~。


始まっちゃったわね…。


試合が始まったことで、私と沙織は同時にルーンを発動させたわ。


私のルーンは『扇』で、

沙織のルーンは『杖』よ。


どちらも物理的な効果は期待出来ないけど。


そもそも殴り合うつもりなんてないわ。


…っていうか。


沙織を物理的に叩くとか倒すなんて絶対に無理。


そんな乱暴なことをするくらいなら負けたほうがマシよ。


もちろん沙織も同じ気持ちだと思うから、近接戦闘は絶対にしないわ。


今回は純粋な魔術勝負よ。


そのために扇を構える。


…とは言え。


広げるのはまだ早いわ。


アルテマは切り札だからそうそう何度も使えないからよ。


それにあとはまあ、あれね。


出来ることならメテオストライクは使いたくないわね。


沙織を苦しめるような魔術は使いたくないのよ。


最終的にどうなるかはやってみないと分からないけど、

とりあえず今は扇をたたんだままで沙織と向き合うことにしたわ。


「行くわよ、沙織」


「ええ、お互いに頑張りましょう」


沙織も強く杖を握りしめる。


私達は試合開始位置から一歩も動くことなく、

全く同時に魔術を展開したのよ。


だけど圧縮魔術を展開する私の魔術のほうが早かったようね。


詠唱がいらないって楽だから助かるわ。


「ダイアモンド・ダスト!!!」


扇から生まれる冷気の核が沙織に襲い掛かってく。


そして雪が降るかのように、冷気の核が沙織の杖に取り付いたのよ。


だけどその次の瞬間に…沙織の魔術が完成したみたい。


「ヴァジュラ!!!」


炎のようにうごめく光の塊が、降り注ぐ冷気とぶつかりあったわ。


光の熱と冷気の核。


相殺しあう二つの魔術はどちらもあっさりと消滅したようね。


う~ん。


これってあれよね?


互角ってことよね?


大賢者である沙織に魔術の威力が追いついたってことよ。


ならっ!!


「ジェノサイド!!!」


アルテマの縮小版を放つ。


威力よりも魔力効率重視で攻撃を仕掛けてみたのよ。


扇の先端に8つの魔術の核が発生して、再び沙織に襲い掛かるんだけど…。


「リフレクション!」


すでに予想してたのかな?


沙織の杖の五紡星が輝いて、小さな光が放たれた。


ぶつかり合う私の魔術と沙織の結界。


お互いの魔術がぶつかり合ったことで小さな爆発を起こしたようね。


軽いガス爆発?


そんな感じ。


その爆発と共に、どちらの魔術も完全に消滅したわ。


はあ…。


ったく、もうっ!!


沙織ってば、実は真哉よりも強いんじゃないでしょうね!?


心の中で全力で叫んでみる。


あっさりと魔術を防がれたことで、確かな焦りが生まれてきたからよ。


「だったらこれはどう!?トールハンマー!!!」


強力な電撃が扇から生まれて、今度こそ沙織に襲い掛かる。


だけど今回は…


「ディスペル!!」


沙織の杖が輝いた瞬間に、あっさりと電撃が消滅したわ。


重力による圧力が発動することさえなく、魔術が消去されてしまったのよ。


ぬああああああああ~!!!


ったく、もう!!!


次から次へと相殺してくれるわね!!


とっておきの魔術でさえも沙織には全く通用しないなんて、

やりにくいにもほどがあるわ!


心の中でどんどん焦りが募ってく。


単純な魔術の勝負では分が悪すぎるからよ。


魔術戦で沙織に勝つのはやっぱり難しいわね。


単純な技術力なら龍馬でさえ負けちゃうくらいだし。


今の私の実力で沙織を制圧するのは無理っぽいかな。


だとしたら、次はどうしようかな?


攻撃手段を考えようとしてみたけれど。


「グロウヴィル!!!」


今度は私よりも先に沙織の魔術が発動してきたわ。


沙織の影が伸びて、私に襲い掛かってきたのよ。


「くっ!サンダー・スパーク!」


強力な雷撃が放つ光によって、影が形を歪めて動きを止める。


あうぅ~。


光魔術が使えれば完全に相殺できるのに。


今は擬似的な光を操るのが精一杯だったわ。


そのせいで沙織の影を破壊することが出来なくて、

足止めだけで終わってしまったのよ。


この状況はまずいわよね。


油断したら再び影に襲われかねないからよ。


「もう!こっちの攻撃は通じないのに、沙織の攻撃は私に届くってずるくない!?」


「ふふっ。それが私の戦い方なのよ。そのことは翔子も知っているでしょ?」


うう~。


それはそうなんだけど。


分かっていても納得なんてできないのよ!


「ああ~もうっ!!」


影を押し返せなくて、

必死に動きを止め続ける。


そんな私の様子を眺めていた沙織は楽しそうに微笑んでいたわ。


「ふふっ。さすがね、翔子。以前よりも確実に強くなっているわ。正直、羨ましいくらいよ」


あ、ありがと…。


でもね?


褒めてくれるのは嬉しいけれど。


影はまだ相殺しきれてないのよ。


闇属性の対極である光属性が使えないせいで、

沙織の魔術に対抗しきれないの。


だから雷撃が消えると同時に再び動き出してしまう影が、

瞬く間に私へと接近してしまったわ。


あ~もうっ!!!


めんどくさいわねっ!


こうなったらもう遠慮しないわよっ!!


下手な手加減は止めて、全力で攻撃に出ることにしたわ。


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