世界を創造する力
再び激しく揺れる会場。
極度の地震が学園中を襲い。
会場そのものが振動に耐えきれずに崩れ始める中でも。
優奈の力によって破壊の力は場外に漏れずに霧の結界に吸収されて消えていく。
「これが兵器さえも消失させる力か…。」
御堂の能力を喰らったことでさらなる破壊力を得た俺は、
魔術が消失して完全に原型を失った試合場を見つめてから力尽きて倒れている御堂に視線を向けた。
…分かるか?御堂。
「これが世界を創造する力だ。」
御堂の力さえも創造して具現化して見せたことでようやく終焉の刻を迎えることができた。
「御堂…この試合もお前の敗けだ。」
3度目の試合も御堂は倒れた。
その事実を見届けてから試合場を離れようとしたのだが。
「…ま、まだ…だっ。まだ…諦めない…っ!僕はきみを…引き留めるんだ…っ!」
御堂は微かな意識を保ちながら、
震える体を必死に起こして諦めることなく立ち上がってみせた。
「総魔…っ。僕は…僕はまだ戦える…っ!!」
………。
もはやルーンすら作り出せず。
魔力も使い果たした状態で戦いを続けようとしている。
そんな御堂意気込みが自殺行為だとしても、
ここで見放すことはできない。
「最後まで意地を張り通すか…。お前らしい決断だな。」
すでに試合場を覆っていた負の力も消え去っている。
もはや御堂に戦うすべはないだろう。
その事実を把握しながらも神剣を地面に突き立ててから右手を御堂に向けて掲げることにした。
「お前が望むのなら、お前が倒れる最後の瞬間まで戦い続けよう。」
御堂の想いに応えるために攻撃を再開する。
「アストラルフロウ!!!」
身動きのとれない御堂に対して全力で放つのは沙織の力だ。
次々と降り注ぐ魔術が御堂の体を飲み込んでいくが、
まだまだ俺の攻撃は止まらない。
「スパイラル・シャドウ!!」
試合場に倒れ込む御堂の体を影の力が取り込む。
「ファイナル・アタック!!」
北条の究極の一撃が御堂の体を破壊しつくし。
「アルテマ!!!」
翔子の力が御堂の体を上空へと吹き飛ばした。
「う、うぁぁぁぁぁぁっ!!」
4種の極大魔術を受けて叫び声さえ失っていく。
「…ぁぁ…ぁ…っ。」
吹き飛ばされた御堂の体がゆっくりと試合場に落ちていく姿を眺めながら、
最後の一撃のために新たなルーンを生み出す。
「…これで終わりだ。」
「………。」
叫び声さえ出せずに落下していく御堂の体に狙いを定めてルーンを投げる。
「魔剣ラグナロク。自らの力で眠れ…御堂。」
投げた魔剣は御堂の体に突き刺さり。
そのままの勢いで試合場を包み込む優奈の結界に衝突した。




