音もなく
検定会場の全域に鳴り響く轟音。
二つの極大魔術による激突。
数えきれないほどの爆発音が繰り返されて、
互いの実力を示しあうかのようにせめぎあう。
…これは結界が危険だな。
極大魔術同士の衝撃が黒柳達の防御結界に致命的な負荷を与え続けているせいで、
次々と魔石の魔力が使い果たされていくのが感じられる。
「しょ、所長!!魔石が砕け散りましたっ!」
「な、んだとっ!?」
西園寺つばめの報告を受けた黒柳の額に汗が浮かぶ。
「うぁ…っ?こっちも…もう…っ!」
危険を感じた藤沢瑠美の手元でも魔石が音もなく砕け散っていた。
「さ、最悪…かも?」
焦る藤沢瑠美が急速に自らの魔力を減少させていくなかで。
「ちっ!ここまでか…っ!」
黒柳が手にしていた二つの魔石の片方が砕けちった。
「まさかここまで早く魔力が尽きるとはな…っ!」
すでに最後の魔石も砕けようとしているのだろう。
黒柳の予想を遥かに上回る絶望的な状況。
「ま、まずいっ!」
手のひらにある最後の魔石が砕け散った瞬間に。
『ズドンッ!!!』と、強烈な衝撃音が響き渡った。
「…くっ。相打ち…かな?」
アルテマを受けた御堂が力尽きて倒れる。
そしてジャッジメントを受けた翔子も魔術に飲み込まれて溶けるように消えていった。




