当然の報い
「しょ、所長っ!?」
体を切り裂かれて倒れた黒柳に西園寺つばめが慌てて駆け寄っていった。
「所長!しっかりしてください!!」
「…大丈夫です。落ち着いてください」
溢れ出す出血を止めるために必死の治療を試みる西園寺つばめに竜崎雪が歩み寄る。
「この程度の怪我ならすぐに治療できますから。」
絶対の自信を込めて回復魔術を展開する。
竜崎雪の小さな手のひらから生まれる白い光の粒が黒柳の体に落ちた瞬間に、
聖なる光が黒柳の体を包み込んで御堂に切り裂かれた傷口を一瞬にして治療していった。
「しばらくすれば目を覚ますはずです。」
「ご、ごめんね。ありがとう。」
「いえいえ。それよりも…。」
黒柳の治療を終えたあと竜崎雪は、
傷だらけの御堂の治療も手伝おうとしていたのだが。
「…僕はいいよ。これは当然の報いだからね。」
御堂は自らの魔術で怪我の治療することで竜崎雪の助けを拒否していた。
「僕はこのまま戦い続けるよ。」
「………。」
痛みを受け入れることが自分の使命だと考えたのだろうか。
少しだけ寂しそうな表情を見せた竜崎雪だったが、
御堂に断られたことでおとなしく引き下がることにしたようだ。
「えっと、もしも私の力が必要ならいつでも言ってくださいね。」
「あ、ああ、うん。ありがとう。」
竜崎雪に感謝の思いを伝えて別れを選んだ御堂は、
改めて宗一郎に振り返った。




