弱者としての想い
「きみは!きみはその程度の実力で全ての魔術師の頂点に立てると思っていたのか!?」
「うっ…うぅ…っ。強、すぎる…。」
言葉と力の両方で攻める黒柳に対して、
御堂は無様に逃げることしかできていない。
「まさか、黒柳さんがここまで戦えるなんて…っ。」
油断がどうこうという以前に全く歯が立たない状況。
この状況は御堂にとっても信じられない事態のようだった。
「何も…出来ないなんて…。」
反撃に出ることも。
防御すらもままならないようだな。
「ぐっ!!うあああああああああああっ!!」
幾度となく繰り返される魔術を全身で浴びる。
そして手にしていたルーンさえも落としてしまった御堂は体を支える気力も尽き果てたのか、
ついに試合場に倒れ込んでしまった。
「くっ…。黒柳さんがこんなに強かったなんて…知りませんでした…。」
「………。」
力の差に戸惑う御堂を見た黒柳がようやく攻撃の手を止めた。
「残念だが、これが現実というものだ。」
立ち上がる力さえなくして試合場に倒れてしまった御堂に宣言する黒柳だが、
これは決して強者としての言葉ではない。
「そしてこれが…俺達の罪なのだ。」
より多くの敗北を知る者としての弱者としての想いだった。




