黒柳に隠された真実
「どうした御堂君。きみの力はこの程度なのか?」
ホーリーの発動中にも次の魔術を展開して、
ホーリーの消失と共に更なる魔術を放つ。
「エクスカリバー!!」
黒柳の無駄のない連続攻撃によって、
御堂はさらなる窮地に追い込まれてしまう。
「うあああああああああああああああっ!!!」
幾千もの風の刃を浴びて全身が切り刻まれていく。
「ダンシング・フレア!!」
「…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
次々と放たれては次々と降り注ぐさまざまな最上級魔術。
幾つもの魔術が連続して襲い掛かるなかで、
御堂はまだまともな防御すらできていなかった。
…大した技量だな。
魔術師としての黒柳の実力は御堂を下回っているはずだ。
単純な威力だけを見れば、
御堂の半分にも満たないだろう。
だが、戦闘においての黒柳の経験値は御堂を遥かに上回っている。
…戦士としての格は黒柳が上だ。
ただ単に強いだけではない。
魔術の繋ぎ方や相手の状況にあわせた攻撃方法の取捨選択など。
戦闘に対する判断力は黒柳がはるかに優勢だった。
…これが戦闘というものだ。
これまでに培ってきた経験が黒柳の実力を大幅に補正している。
…お前には分かるか?
御堂はまだ気づいていない。
自分が今『誰』と戦っているのかに気づいていない。
…その真実に気づくことが今回の試練だ。
黒柳に隠された真実。
そこに気づいて、どう対応するのかがこの試合の課題になる。
…さあ、どうする?
本気を出した黒柳に対してどう立ち向かうのか?
御堂がその答えを示すその前に。
「これが…所長…なの?」
西園寺つばめが違和感を口にしていた。




