知略戦は不可能
結果的には力押しだったとしか言えない状況だが、
これはこれで良かったのかもしれない。
…これも御堂の決断だからな。
策を張り巡らせて相手を罠に嵌めるという方法を選ばずに知略戦を避けて物理的に行動を封じる方法を選ぶ。
それも一つの結果だと思うからだ。
…御堂の場合はしたくても出来ないということもあるかもしれないが。
だからと言って問題があるというほどでもない。
決して良くはないが、
悪いとも言い切れないからな。
ただ、今回の結果を考慮すれば、
やはり長野敦也のように影で暗躍できる才能を持つ仲間が必要なのは明らかだ。
御堂に出来ないことを代わりに負担できる仲間が必要だと改めて考えさせられる結果とも言えるだろう。
…相手を貶めないという考えは御堂の長所ではあるが同時に短所でもある。
その短所を補うための仲間が必要ということだ。
…それを宗一郎も理解しただろうな。
御堂の性格的に知略戦は不可能だ。
相手を騙すという考えを持たない御堂にその手の作戦は考えられない。
…だからこそ引退させるわけにはいかないんだ。
御堂を支えるべき人材として宗一郎に現役を続行させる。
そして御堂の代わりに悪意のある者達からの策略を潰してもらう。
それが密かに考えていたもう一つの計画でもあった。




