成長していくもの
「西園寺さんの時もそうだったけど…。僕はすぐに油断してしまうんだ…。それが僕の弱さだって気づくことが出来ました。」
「ふふっ。自分の弱さを認めるのはいいことだと思うわ。そこから人は成長していくものでしょうから。」
「…はい…。僕も…そう思います。」
体を襲う痛みよりも次々と露呈していく自分自身の弱さを嘆いているようだな。
自らの欠点に気付いた御堂は、
気持ちを切り替えて戦いに挑むために改めて試合の再開を宣言した。
「だからもう…油断しません。藤沢さんの罠に嵌まった事実は認めますが、それでも僕はまだ戦えます。」
「うわぁ。怖すぎ…っ。」
体が思うように動かない状況でも戦い続ける意志を示す御堂を見て、
藤沢瑠美はさらなる魔術を展開しようとしていた。
「痛いのは嫌いだから、御堂君が負けてくれることを祈るわ。」
自分が傷つかないために攻撃を優先するつもりのようだな。
突き出した右手からさらなる影が延びようとしているのだが。
「ジャッジ・メント!!」
御堂の魔術が先に展開してしまう。
「うぁ…。やば…っ。」
目前で広がる光。
それが何を意味するのかは藤沢瑠美も知っているはずだ。
「こ、これは…ちょっと…無理かも…?」
並みの魔術師よりも優秀な程度の藤沢瑠美では御堂の魔術は回避できない。
「…に、逃げてもいい…?」
どうやら戦意を失ってしまったようだな。
逃亡を願う藤沢瑠美だが、それはすでに手遅れだ。
「裁きの光…っ!」
「き、きゃああああああああああっ!!!」
影に体を喰われながらも必死に抵抗する御堂の攻撃が藤沢瑠美の体を軽々と吹き飛ばしてしまった。




