私の母校は
「く…っ!?まさか、反撃してくるなんて…っ!」
反撃はないと思い込んでいたのだろう。
あっさりと窮地に追い込まれてしまった御堂の姿をまっすぐに捉える藤沢瑠美は、
再び影を伸ばすことで御堂の左腕に漆黒の牙を喰らい付かせようとしている。
「シャドウ・ファング!!!」
「くっ!しまった…っ!」
利き腕を影に押さえ込まれて焦りを募らせる。
腹部と利き腕が影に捕らえられた御堂が身動きのとれなくなった状況で、
ようやく藤沢瑠美が自らの本性をあらわした。
「あらあら、御堂君。それじゃあ、試験は失敗しちゃうわよ?」
身動きを封じた状態で見せる藤沢瑠美の微笑みは、
今までのお気楽な笑顔とは違ってどこか不穏な気配を漂わせている。
「ねえ?御堂君は知らなかったのかしら?」
「な、何を…ですか?」
「私の母校はね。カリーナ女学園なのよ。」
「えっ?」
体と左腕の痛みをこらえながら問い返す御堂に藤沢瑠美が事実を告げた。
「黒柳所長に引き抜かれてこっちに来たんだけどね。それまではずっとカリーナにいたわ。それがどういう意味かは…御堂君なら分かるわよね?」
「………。」
説明するまでもないと考える藤沢瑠美の言葉によって、
御堂もようやく気付いたようだな。
「ま、まさか貴女も…魔女の一人?」
「正解。そして例のシークレットリングをジェノスに持ち込んで指輪を複製したのも私になるわ。まあ、そうは言っても研究に参加していたというだけであって、私が指輪を開発したわけじゃないんだけどね。」
「藤沢さんがカリーナの出身だとは…知りませんでした…。」
「でしょうね~。だけどだからこそもう気づいたでしょ?」
「…え、ええ。そうですね…。」
「私も真実を隠して実力を偽る魔女の一人。だから私が『戦闘が不得意』と思い込んだ時点で御堂君の敗北は確定したも同然なのよ。」
戦いが不得意と言う情報を広めて実力を隠していた。
その計略に気づかずに罠に嵌まった御堂は、
俺が予想していた通りに藤沢瑠美の実力を過小評価して本来の力を発揮できずに捕らえられてしまっていた。




