誰も知らない
《サイド:美袋翔子》
優奈ちゃんと悠理ちゃんが加わって、5人で向かう検定会場。
もちろんここは第1検定試験会場よ。
何となくだけど、
最近、よくここに来てる気がするわね。
昨日の午後にも幾つかの試合をしてたんだけど。
全試合を勝ち進んだ今の私の生徒番号は13番よ。
出来ることならもう少し成績を上げたかったんだけどね。
残念なことに一桁の生徒は一人も現れなかったのよ。
で、まあ、今に至るわけなんだけど。
対する真哉の生徒番号は龍馬と入れ代わって105番ね。
単純な番号だけで見れば私の方が圧倒的に上よ。
だけど2番から落ちただけの真哉の実力は105番に収まらないはずよ。
龍馬と試合をしていなければ2番のままだったんだから、
まだ私の方が番号が低いと考えるべきでしょうね。
でも、ね。
それでも真哉に負けるつもりなんてないわ。
まだ誰も私の力を知らないから、
私を弱いって思ってるかもしれないけどね。
私の実力だってすでに13番で収まる程度じゃないのよ。
私の実力はこの程度じゃないの。
一応、淳弥だけはアルテマを経験してるけれど、
他の誰も私の力を知らないでしょうね。
ルーンに関して言えば、
淳弥や龍馬に実物は見せたことがあるけれど。
その力までは見せていないわ。
だから、ね。
沙織も…
真哉も…
龍馬も…
総魔も…
誰も私のことを知らないの。
知っているのは私に負けた生徒だけ。
その中でも私の全力を目にしたのはごく少数でしょうね。
私はね。
たった一人で戦い続けて、
たった一人でここまで勝ち上がってきたのよ。
だからみんなはまだ知らないはずなの。
私の本当の実力を、ね。




