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一曲の旋律
「どういう意向かは知りませんが、やると決めた以上は必ず結果を残して見せますっ!」
ルーン研究所の副所長として何らかの成果をあげて見せると意気込む西園寺つばめは、
目の前に立ちはだかる御堂を鋭い視線で見つめながらその手にルーンを生み出した。
「戦争以来、まともな戦闘は久しぶりだけど…。」
淡く光輝くフルートを自らの唇にルーンを寄せて、
力強く響き渡る一曲の旋律を奏でていく。
…ほう、完成させていたのか。
西園寺つばめが何をしようとしているのか?
その目的はすぐに把握できた。
…良い魔術構成だ。
かつて実験を行っていた時よりも遥かに精度が増しているのが分かる。
俺が残した例の魔術は西園寺つばめの独自の魔術として発展しているようだった。
…良い音色だな。
音の魔術師としての才能を最大限に発揮しているのが感じられる。
…予想以上の成果だ。
これなら確実に御堂にも通用するだろう。
「…くっ!まさか…この魔術は…っ!?」
どうやら御堂も気づいたようだな。
西園寺つばめの旋律が奏でる旋律は、
激しく動揺する御堂を強制的に試合場にひれ伏させた。




