きみに挑むための
「…これが俺の考える計画の全容になる。」
一人目の対戦相手から俺に至るまでの計画。
その全ての手順を宗一郎達に話した。
「この計画が上手く行けば御堂はさらに成長するはずだ。」
「それは魔術師としてというよりも、人として…といったところだな。」
…ああ、そうだ。
俺の考えを把握してくれた宗一郎は、
今回の計画の必要性を理解してくれたようだ。
事細かな手順も含む全ての方針を暗記してから、
俺の計画に賛同してくれていた。
「ふむ。良い計画だな。まさか俺達まで巻き込まれるとは考えていなかったが、確かにきみの説明通り御堂君にとっては必要な試練と言えるだろう。」
「上手く実行できるか?」
「やって見せる。きみの考えが実を成せば、それは共和国の未来にも繋がるのだからな。」
これから共和国の代表として生きていく御堂の成長は少なからず共和国の繁栄に影響を及ぼすからだろう。
宗一郎は快く俺の計画を引き継いでくれた。
「まさしく卒業試験に相応しい試練だな。」
「これが俺に用意できる最後の道標だ。ここから先は御堂自身の手と足で進んでいくしかない。」
「ああ、そうだな。」
宗一郎もここから先の未来は御堂が自らの手で切り開くべきものだと判断しているのだろう。
「そろそろ時間だ。」
時計の針が午後4時を示したのを確認してから、
宗一郎は俺達に背中を向けた。
「それでは始めようか、彼がきみに挑むための最後の試練を。」
…ああ、始めよう。
ついに始まる運命の時。
俺と御堂が願う決戦への道を繋ぐために、
宗一郎は用具室をあとにした。




